DeNA・宮崎、首位打者の打撃術 「内角と外角で打ち方を変えました」

週刊ベースボールONLINE

「センター方向に打たない」意識

「もう一度日本シリーズの舞台に立ちたい」と、来季への抱負を語る宮崎。個人的には「打率はこのままで20本塁打」を目指すという 【写真:BBM】

──開幕から順調にきたような印象も受けますが、実際には開幕スタメン落ち。さらに当初はセカンドを守っていました。成績が安定したのは「5番・サード」に固定されたことも大きい。

 セカンドとサードでは真逆の動きで守備面での違いは大きいですが、僕としては打撃は打撃、守備は守備。守備でのいい流れは打撃につなげられますけど、守備と打撃は別ものと考えています。

──6月、首位打者に立って一時はトップを明け渡しました。プレッシャーは感じていましたか。

 プレッシャーはなかったですね。首位打者といっても一時的なものだと思っていたし、いつかは落ちてくると思っていました。

──8月は月間打率2割7分と苦しみました。どうやって調子を取り戻したのですか。

 体と頭がうまく連動しないというか、自分が思ったようにバットが出せなかったのが8月でした。その時期は基本的なスタイルは変えずに、バットを軽くしたり、短く持ったりしていましたね。毎年、夏はあまり得意ではなく、疲労もあったのかもしれません。チームの状況もあまりよくありませんでしたからね。

──わずかなアジャストで自分の打撃をキープしていった。

 そうですね。その後は本来の自分のスイングが戻り、バットの重さは元に戻しました。練習の中で「戻ったな」という感覚がありました。バッティングは毎日毎日、感じ方が違うもので、一度調子が落ちてしまうと再度きっかけをつかむのがなかなか難しいですね。時間もかかります。

──高い打率をキープするために、今季最も意識していたことは何ですか。

「センター方向に打たない」という意識は変わらず持っていました。インコースは引っ張る、アウトコースは流す。

──真ん中は?

 左右どちらでもOKです。僕の場合は真ん中をしっかりとらえると左中間か、右中間に飛んでいきます。

──DeNAはチームとしてファーストストライクからのスイングを徹底しています。

 ラミレス監督が1球目からどんどんいきなさい、と背中を押してくれるので意識していますね。数字的に見てもファーストストライクがヒットになる確率は高い。

──2ストライクからインコース低めを一塁側にファウルにしたり、ボールをとらえる感覚に独特な感性を持っているように見えます。

 どうなんでしょうか……。とにかくバットに当てようとは思っています。昔から三振をするのが好きじゃなかったというのはあります(47三振は規定打席到達者では最少)。よく記者の方に質問される「お手本にしてきた打者」という存在もいないんです。小さいころから自分の感覚を大事にしてやってきたような気がします。

──では、他球団やチームメートで「これはすごい」と思った打撃技術は。

 ウィーランドっすね(笑)。あのスイングはエグい。普通に野手の打球ですよ。どんなボールが来ても同じスイングでぶれない。ハマスタでCSを決めた広島戦での逆転3ラン(10月1日)は僕が二塁走者だったので、すごく印象に残ってます。とんでもない当たりでしたよ。しかも彼は2ストライクから軽打を狙ってきますから。

──今季、個人的に一番成長した部分はどこですか。

 5番で打たせてもらっているという責任感を意識してプレーできました。3番、4番はいい打者が並んでいるので歩かされて僕で勝負という場面も多かった。そういうところでしっかり結果を残せたり、後ろにつなげられたことが昨年から成長できた部分だと思います。

──打撃で向上させたい部分はありますか。

 あまり大幅に変えることはしません。今の感覚をしっかり体に覚えさせて、試合に入っていく。そこで出た課題を一つずつクリアしていきたいですね。当然、来年は相手投手からのマークもきつくなり、厳しいボールも増えると思います。誘い球も多くなるでしょう。しっかり見極めて、対応していくだけです。

──来季の目標は。

 チームとしてはリーグ優勝を目指す。そして、もう一度日本シリーズの舞台に立ちたいです。個人的には打率はこのままで、20本塁打を目指したいです。

(取材・構成=滝川和臣)

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