中国戦がポジティブに評価できる理由 小林の代表初ゴールと今野の存在感
忘れてはならないベテラン今野の存在
「UAE戦の今野が戻ってきた」とハリルホジッチ監督も今野(左から2番目)を高く評価 【Getty Images】
植田のサイドバック起用の種明かしについては、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の会見から。「中国とわれわれの選手と比べてみて(相手の)FKの戦いをどうすべきかを考えた」と、相手との体格差を埋める狙いがあったことを認めた。一方、監督との話し合いをした際に「いけます!」と即答した植田は、「自分が後ろで待ってスペースを空けてあげれば(伊東)純也君はより生きると思いながらやっていました」とコメント。とはいえ、この日は果敢な飛び出しや精度のあるクロスも供給しており、引き出しの多さをアピールできていた。これまたハリルホジッチ監督にとっては、うれしい誤算だったのではないか。
大島の負傷やPKによる失点など、悔やまれる点もないわけではなかった。それでも、それぞれがタスクを理解しながらプレーできていたこと、スピードと縦への意識を持った攻撃ができていたこと、チャンスを与えられた選手の多くが持ち味を出せたことなど、全体を通してみればポジティブに評価できる試合内容であった。そして、キャップ数1桁の選手たちに注目が集まる中、忘れてはならないのが今野の存在感である。「UAE戦の今野が戻ってきた」とハリルホジッチ監督も高く評価していたが、ボランチもセンターバックもサイドバックもできる34歳のベテランは、その経験値も含めてロシアでも必要な存在であるとひそかに確信するに至った。
最後に、対戦相手についても触れておこう。リッピ監督は試合後の会見で、日本の実力が上だったことを認めつつも、「私が見据えているのは19年のアジアカップであり、22年のカタールでのW杯。U−22は成長している段階だ」と、中国サッカーの未来は明るいことを強調した。しかし一方で気になったのが「中国ではサッカーに対する文化的な視点が欧州とはかなり違う。それらを考えながら全体を構築していくことが重要」というコメント。何気ない言葉のようでありながら、中国との「文化的な視点の違い」が、代表強化の上でかなりの障壁となっていることをうかがわせる。今後もさまざまな困難が予想されるが、それでもリッピ監督の中国での成功を祈りたい。