久保裕也の言葉で追う紆余曲折の前半戦 監督交代でチームが復調、自身も復活へ
オイペン戦でトップ下に配置転換
久保(右)はサイモン(右から2人目)らにサイドを任せ、トップ下へと配置転換した 【Getty Images】
<試合から消えることの多かった久保が、試合に関わり続けている。相手への寄せは早く、敵のボールに対して積極的にチャージする。久保の情熱が伝わってきた>
ゲントには右にカルー、左にモーゼス・サイモンというスピードスターのナイジェリア人コンビがいる。このうち1人がけがで欠けてもデイベル・マチャドというコロンビア人の似たタイプの選手が控えている。サイドは彼らに任せ、久保はトップ下に固定するという戦略がオイペン戦で見つかった。以降、ファンデルハーゲ監督は4−2−3−1というフォーメーションと、先発に起用する選手をほとんど変えることなく好成績を収めている。
「カルーとサイモンがウイングだと両サイドから突破できるので、僕は中で勝負できる。そのほうがやりやすいかなと思います」(オイペン戦後の久保)
久保がトップ下を務めるということは、「ゲントのナポレオン」として2014−15シーズンの優勝に貢献したダニエル・ミリセビッチがレギュラーから外れることを意味する。ファンデルハーゲ監督は、そのミリセビッチをベルギーカップ7回戦の対ロケレンでスタメンとして抜てきした。するとミリセビッチがしっかりゴールを決め、チームも2−1で勝った。試合終了直前に、逃げ切り要因としてピッチに入った久保は言う。
「僕も最初から試合に出たかったですけれど、ミリセビッチが点を取ってチームの雰囲気もいい。多分、ミリセビッチと僕で、あそこのポジションをやるという感じだと思う。そこを(監督が)うまく回しているんだろうなと今日、思いました」(ロケレン戦後の久保)
自他共に感じ始めた久保の復活
「ファンハーゼブルック前監督の時は1試合負けるとシステムが変わってメンバーが変わっていたから、頭を使うという難しい部分がありましたけれど、今はシステムを固定し、メンバーもある程度固定してやっているので、勝ち出すとすごいやりやすいです。そこは違うと思います」(久保)
12月3日のズルテ・ワレヘム戦を1−0で勝ち、とうとうゲントは“プレーオフ1(上位6チームによって優勝、チャンピオンズリーグ、EL出場権を争うプレーオフ)”圏内の5位に浮上した。久保は「僕自身のプレーはよくなかったです」と振り返っていたが、出来がよくなくても、よくないなりのプレーを披露していたと思う。
例えば、サイモンが決勝ゴールを決めたシーンの前には、自陣右サイドでルースボールの奪い合いで相手との身体の入れ合いに久保が勝ったシーンからゲントの攻撃がスタートしている。
「あのプレーを、もっと前の方でやりたいんですけれどね。直接、結果に関わるような位置でやりたいなと思います」(ズルテ・ワレヘム戦後の久保)
ズルテ・ワレヘム戦後、そろそろ日付が変わろうとする記者室で、原稿を書いていたベルギー人記者が「久保のパスが通るようになってきたな。身体のキレもいい。ターンもできている」とつぶやいた。久保の復活を誰もが感じ始めている。