厳しいグループに入ったアルゼンチン マラドーナは楽観視するも、チームを酷評

国内では懐疑論と楽観論が渦巻く

アルゼンチンはアイスランド、クロアチア、ナイジェリアと同じD組に。マラドーナは「楽なグループになった」とコメント 【写真:ロイター/アフロ】

 ワールドカップ(W杯)本大会の組み合わせ結果を受け、アルゼンチン国内では懐疑論と楽観論と、ころころ変わる意見が飛び交った。アイスランド、クロアチア、ナイジェリアと同居したグループDには、簡単な試合が1つもない。そう考える者もいれば、逆に3チームとも勝つことが可能だと考える者もいた。

 グループDほど混戦になりそうなのはグループCとグループHくらいだ。グループCはフランスが頭一つ抜けているものの、ペルーとデンマークの2位争いは拮抗(きっこう)している。現時点で新監督すら決まっていない危機的状況にあるオーストラリアの望みは薄い。

 日本が入ったグループHはポーランドが最有力と見られているが、コロンビアも強豪であり、日本とセネガルも競争力があるチームだ。とはいえ、それでもアルゼンチンのグループDほど難しいグループとは言えないだろう。

 さらにモスクワのクレムリン宮殿で行われた抽選会では、国内でくすぶっていた問題も表面化した。全世界が注目する舞台上にて、ゲストとして招かれたディエゴ・マラドーナが「楽なグループになった。だがアルゼンチンはプレーを改善しなければならない。今ほどひどいプレーは許されない」と代表チームのプレーを酷評したのだ。これに対し、監督のホルヘ・サンパオリは後に「彼は世界最高の、そして史上最高の選手だ」とリオネル・メッシを形容することで、母国のレジェンドに返答した。

アイスランドのフィジカルと豊富な経験は脅威

11月の親善試合では、ナイジェリアに2−4の逆転負けを喫した 【Getty Images】

 アルゼンチンは6月16日、スパルタク・モスクワのホームスタジアムでアイスランドとの初戦を迎える。近年急激に力をつけてきたアイスランドは、昨年のユーロ(欧州選手権)でイングランドを破ってベスト8に進出しただけでなく、今予選ではプレーオフに回らずグループ首位で本大会出場を決めている。

 ヘイミル・ハルグリームソン監督率いるアイスランドは、イングランドやスコットランド、スウェーデンなどでプレーする選手たちで構成されている。彼らが持つフィジカルコンタクトと豊富な経験は、十分にアルゼンチンを苦しめ得るものだと言える。

 5日後の21日には、1998年のフランス大会でも同組となったクロアチアとニジニ・ノヴゴロドで対戦する。強豪国クロアチアがプレーオフに回った原因は他でもない、本大会でも同組となったアイスランドに首位通過を阻まれたからだった。

 今予選の最終節を前にズラトコ・ダリッチ監督が就任したクロアチアは、イバン・ラキティッチ(バルセロナ)やルカ・モドリッチ(レアル・マドリー)、イバン・ペリシッチ(インテル)、マリオ・マンジュキッチ(ユベントス)らビッグクラブでプレーするスター選手をそろえた好チームだ。ただ中盤でのパスワークとボールポゼッションを重視したフットボールは良くも悪くもクラシカルで、ヨーロッパで最も南米的なチームだと言える。

 26日にはサンクトペテルブルクでナイジェリアとのグループ最終戦に挑む。ナイジェリアとは11月に、ロシアのクラスノダールで親善試合を行い、メッシは不在だったものの、2−0から2−4とされる逆転負けを喫したばかりだ。

 W杯本大会でアルゼンチンがナイジェリアと対戦するのは94年、2002年、10年、14年に続き、今回が5回目。いずれも“スーパーイーグルス”(ナイジェリア代表の愛称)が擁する快速アタッカーに苦しみながら、全てアルゼンチンが勝利してきた。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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