“田口監督”に聞く新日本の気になること 東京03豊本のプロレスあれこれ(特別編)

スポーツナビ

エル・サムライ選手がキャーキャー言われる状態!?

新日本プロレスファンの方たちが完成されすぎている現状。ファン離れの心配はあったり…… 【スポーツナビ】

――豊本さんから見て、今年の新日本プロレスはいかがでしたか?

田口 豊本さんの意見、気になりますね。

豊本 そんなに気になってないでしょ!(笑)
 まあ、相変わらず盛り上がっているなというのはありますね。お客さんのでき上がり方、盛り上がり方が完成しちゃっていると言いますか。ですから、これからどうするのかなと。そこは不安ですね。
 第1試合から楽しみ方を分かっている人たちが100パーセントいる状態と言いますか。最初からメインまで満足して盛り上がっていますけど、これがずっと続くのかなと。数年前には「プ女子」がたくさん訪れて、よく分からない中で見ていたのに、時間がたって楽しみ方も分かり始め、成長したファンがたくさんいる。そういう方たちが今後、離れることはないかなと。
 割と僕ら昔からのプロレスファンって、選手の歴史を見ていたり、人間ドラマというか、この選手とこの選手の関係はこうで、袂を分けて違うユニットで戦うとか、勝手にドラマティックに見て楽しんでいると思うのですが、今の人は単純に格好いいからとか、楽しいから見てくれたって人が、ちゃんと見続けてくれるのかなと。

――確かに新日本の観客にはお子様や女性のお客様も多いですよね。歓声も違います。

田口 最近はキャーとかが多くなって、アイドルと勘違いしているのではと……。特に若手選手は勘違いしちゃいますよね。
 僕が若い時は後楽園にお客さんがそれほど入らなくて、野次(やじ)が直接聞こえる時代でしたから。「ちゃんとやれー」と。そういうのを経験している選手と、1試合目からキャーキャー言われるのでは、どこかの壁にぶつかった時に違うかもしれませんね。

豊本 言い方おかしいですけど、田口さんでもキャーキャー言われていますよね。

田口 まあ、今はちょっとだけ。何をキャーキャー言っているのかなとは思いますけどね。

豊本 いやいや、顔はハンサムですし、試合も素晴らしいからキャーキャー言われて当然ですよ。ただ、それこそエル・サムライさんがキャーキャー言われているのと同じですからね。それがピンとこないと言いますか。

田口 麻痺状態ってことですね。

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――そのほか豊本さんが気になっていることは?

豊本 気になるところですか? うーん、試合が激しすぎるところですかね。もちろんすごくていいんですけどね。でも本当に「田口さんを見習え」と! ケツだけで試合を成立させますし。要は相手を3秒間だけ動けなくさせればいいんですから。
 でも「殺されちゃうよ!」っていうシーンがバンバンあって、心配になっちゃうんですよ、勝手に。選手は鍛えているし、受身の技術も日々研究していると思いますけど。

田口 選手も怖いですよ。控え室のモニターを見て「うわー」って。みんな大丈夫かなと思って見ています。

豊本 しかもここ近年、G1でも何でも、選手がより腕をぶん回して試合に臨むじゃないですか? 試合数も増えて連戦ですし、これはちょっと選手生命を縮めるぞと。そういうところが心配ですね。

――田口選手から見ていて、G1中の選手たちというのはどうですか?

田口 G1中はみんなボロボロですね。試合数も多いですし、移動も長いですから。トレーナーの先生は2人いますが、休みなく選手のマッサージや治療をしています。テーピングをしていない選手の方が少ないぐらいですし。もちろん選手はみんな、危ないことをやっていると感じていると思います。

豊本 でも、ぶっちゃけ、できちゃうというか、やれちゃうんですよね。みなさん。それでお客さんを楽しませたいという気持ちになると、前回よりもすごい試合をとなりますよね。

田口 そうですね。ただ、激しい試合の多くはケニー(・オメガ)選手絡みが多いですけど。

――ジュニアの方はどうですか?

田口 ジュニアの方は、KUSHIDA選手が関節技主体ですし、いきすぎはそこまでですね。ただ(高橋)ヒロム選手がちょっといきすぎかなと。ヒロムvs.ドラゴン・リーの試合はすごかったですね。
 一部やりすぎのところはありますけど、僕はヒロムと戦いましたが、その時はやりすぎにならないよう、「その技は受けませんよ」と(笑)。

豊本 シャットアウトしていましたね(笑)。それが大事です。

田口 死んじゃうのは嫌なので。どこかで歯止めをかけないとと思うところはありますね。ただ、できる人しかやっていないと思います。

豊本 そうそう。できるからやっちゃうんですよね。そこが難しい話です。

田口 その人たちがやっている分には、受けもしっかりできますし、すごいことをやっても問題ないと思います。ただそれをほかの人にやってしまうと大変なことになります。それにできる人たちがさらに(激しい試合を)求めていくと、それにお客さんが満足しちゃって、普通の試合が物足りなくなっちゃうといいますか。

豊本 それで離れてしまうお客さんもいるだろうし。ですからリングもお客さんも完成されているというか。これで大丈夫かなと。
 とはいえ、内藤(哲也)さんとオカダ(・カズチカ)さんが年間で対立構図で引っ張っていったり、お互い試合以外のところでもストーリーを見せてくれたというか。そういう企業努力もありますよね。昔からのプロレスの良さを今風に包んでやっていると思います。田口さんはそういう古き良きものを意識していますか?

田口 古き良きものですか? 意識しています。

豊本 それを感じるんですよね、ケツしかやらないし。昔の試合を見ると最後だけ大技で、エルボーだったり、ヘッドロックだけで5分戦ったり、それだけでお客さんは満足して帰っていましたよね。でも今は技の数も増えて、お客さんも刺激に慣れちゃっているというか。そういうクラシカルなものでちゃんと見せて、ちゃんとやっている選手は貴重だと思います。その中に田口さんは入っていますね。

田口 そうですね。そこは意識しています。

豊本 余分な技をしない、無駄をしない。無駄をしなさすぎて動かない(笑)。あ、本音が出てしまいました(笑)。

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