高梨沙羅に求められる「完璧な80%」 女子代表コーチに聞く五輪金メダルの条件

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高梨の金メダルには何が必要なのか

高梨が積み上げたW杯勝利数は史上最多タイの53勝。五輪金メダルに必要なものとは 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 平昌冬季五輪の開幕まで3カ月を切った。米国のデータ企業「グレースノート」は1日付のメダル予想で日本の金メダルを3つと予想したが、うちひとつを獲得するとされたのがノルディックスキー・ジャンプ女子の高梨沙羅(クラレ)だ。

 昨季まで2シーズン連続、計4回のワールドカップ(W杯)総合優勝、積み上げたW杯勝利数は男子も含めて史上最多タイの53勝。高梨は他の追随を許さない圧倒的な実績を残してきた。金メダル候補筆頭とされるのも当然だろう。

 2014年、女子ジャンプが初めて五輪競技となったソチ五輪でも、高梨は金メダル最有力とされていた。前シーズンに初のW杯総合優勝を果たし、五輪シーズンに入ってもW杯13戦10勝と、破竹の勢いで勝ちまくっていたからだ。

 しかし結果はまさかの4位。大会直前に調子が下り坂だったことと、大舞台のプレッシャー、そしてジャンプには不利な折からの追い風など、いくつもの要因が重なって、表彰台を逃すという結末になった。

 平昌で同じ轍を踏まないためには何が必要なのか。女子ジャンプのパイオニアで現日本女子代表コーチ、また高梨の専属コーチも務める山田いずみ氏に話を聞いた。

コーチが感じる精神面の成長

高梨の課題とされることもあった精神面について、山田コーチは間近で成長を感じている 【スポーツナビ】

 ソチ五輪の4位は多くの人々に衝撃を与えたが、高梨はその後2度行われた世界選手権でも、4位(15年)、3位(17年)と頂点を逃している。大舞台に弱い――マスコミやファンから容赦ない声が飛ぶこともあるが、精神面の課題は陣営も否定しない。

「W杯で勝てているのに、なぜ世界選手権や五輪で勝てないのかと言えば、メンタル的な部分が大きかったのかなと思います」と山田コーチ。

 一方で「ここ最近は(精神的に)すごく強くなったと感じます」とも評した。以前の高梨と比べてどのような成長を感じ取ったのか。

「若い頃は、調子が悪くなると自分のなかでいっぱいいっぱいになってしまって、どんどん(調子を)落としていました。ただ最近は余裕が出てきたというか、わざと(余裕を持てるように)作っているのかもしれないですけど、深呼吸が少しできるようになりましたね」

 高梨が頂点を逃した3度の大舞台を全て制したのはカリーナ・フォクト(ドイツ)。W杯では通算2勝に留まる選手なのだが、彼女から学ぶべき点があると言う。

「フォクトは『私はビッグイベントの勝ち方を知っている』と言っていました。本当は知らないと思うんです。だったらいつも出してよって話で(笑)。でもそれくらいの自信や強気が大事ですよね」

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