一番カッコいい、一番無様な引退試合 天龍源一郎&東京03豊本明長 特別対談
『LIVE FOR TODAY-天龍源一郎-』のブルーレイ&DVD発売を記念して、天龍さんと東京03豊本さんが特別対談 【スポーツナビ】
ブルーレイ&DVDの発売に当たり、同作品の推薦文も書いたお笑い芸人の東京03豊本明長さんと天龍さんが特別対談。私生活から、プロレスラー人生まで、多岐にわたる話題を語ってもらった。
天龍さんが語る夫婦仲を保つ秘訣は!?
天龍さんが夫婦仲の秘訣を豊本さんに伝える 【スポーツナビ】
豊本 今日は僕、このお言葉だけで満足です(笑)。
天龍 結婚生活は上手くいってるの?
豊本 はい、なんとか。
――天龍さんから結婚生活のアドバイスは?
天龍 結婚生活はお互いがお互いを尊重していけばいいのと、一番最初に相手のどこを好きになったかっていうのをずっと持っていれば夫婦仲はうまくいきますよ。得てして長くいると、最初に好きになったきっかけとか取っ掛かりを忘れて、「なんだよこれ」とか「これも足りない、あれも足りない」ってなってくるけど、最初に何が好きだったのか、容姿が好きだとか性格が好きだとか、そういうことを思い続ければ相手をリスペクトすることができますよ。やっぱりお互いがお互いを尊重しないと、「自分のモノ」ってなって、言いたいことを言うようになっちゃうとギクシャクしちゃう。俺なんか家庭の不満をリングでぶつけていたからこうやってなれたし、良かったと思います(笑)。
豊本 家庭に不満があったんですか(笑)。
天龍 だからジャンボ鶴田もあんなに攻められたんだよ(笑)。彼の家庭はうまくいってるから頭にきてたんだと思うよ(笑)。
豊本 なるほど、それであんなに激しかったんですね(笑)。僕の奥さんはプロレスラー(ミス・モンゴル選手)なので、なかなか常識では考えられない部分があって、たとえば試合を終えて血だらけで頭に包帯を巻いて帰ってきても普通に生活しているんです。でも、それをいたわると「大丈夫」ってなる訳です。そのさじ加減だったりどうしたらいいのかなと。
天龍 本人が「大丈夫」って言うんだから気にしなければいいし、あんまりグッと入らないで付かず離れずで見て、とりあえず家庭というのは中和ができればいいという感じでやった方がいいよ。だって逆に彼女が「あんた、全然スベってばかりじゃないの」なんて言ったら頭くるでしょ? そこは豊本くんにしたら踏み込んでほしくない部分だから。
豊本 なるほど、やっぱりそういうラインがあるんですね。彼女も僕の方にそういうことはないので、その辺は彼女の方が上手ですね。
天龍 だから豊本くんも逆に踏み込まない方がいいんじゃないかな。本人が寝込んでいるんだったら話は別だけど、普通に動いているんだったら、もうそれでうっちゃっておけばいいんだよ。
その時その時を必死に生きてきた結果が今日になる
「その時その時を必死に生きてきたっていう結果が今日になった」と話す天龍さん 【スポーツナビ】
天龍 今日もずっと後楽園ホールとか日本武道館へ向かう道を通ってきたんですけど、気持ちが高ぶったり自虐的な気持ちになりながら通った道路が今は気楽に通れるのが不思議だね。なんか重荷じゃなくて、ただスーッと通って、もう現場に着くんだっていう感覚がすごく不思議です。プロレスの時はやっぱり重荷だったり負担でしたから。
豊本 では、今はさっぱりしているというか。
天龍 もう気楽ですよ。ほんと気楽。だからこの年になると、よく「若い頃に戻りたいでしょう?」なんて言われることがあるんだけど、あんなに貧乏で必死になって生きていた時なんかに戻りたくもないっていう(笑)。今はオープンな気持ちでやれているし、本当に気楽です。
――それぐらい、思い残しや悔いを残すことなく引退することができたのですね。
天龍 そうですね、その時その時を必死に生きてきたっていう結果が今日になったんだと思います。みなさんも明日があるからってセーブをしないで、今日を一生懸命生き抜けば明日は必然と来るものだと思います。でも、これはたまたま自分が相撲に入ったからで、相撲はその日の勝負をしてまた次の日が来る、稽古も必死になってやらないと明日が来ないっていう感じだったから、そうやって毎日を過ごしてきて、それがそのままずっと俺の感性みたいになっちゃっているんです。でも、それは一般の人にも同じで、今日はセーブして大きな仕事の時にエネルギーを出そうと思ったって、日々出してない奴は出すことができないっていうことを言いたいです。毎日全力を出していけば、大きな仕事が来た時も否が応でも出し切れる自分でいると思います。その繰り返しだと思います、人生は。だから一般の人たちもその気持ちに切り替えて、日々を過ごしていってほしいなというのが正直なところです。
豊本 僕もコントをするにしても、練習の時からなるべく声を張ってやるようにしています。本番と同じテンションでキッチリやらないと、いざ本番になって大きな声を出すとスコーンとセリフを忘れて急に頭が真っ白になったりするんです(苦笑)。そういうことがやっぱりあります。
天龍 必死になってやっていると、“ここでもう1つ落とした方が客が食いつくよな”とかアイデアもどんどん出てくると思うんです。一生懸命やっているから、これをやりたい、あれをやりたいって、どんどん自分をスキルアップしていくっていうのはあると思います。俺の場合はそうでした。
豊本 表現者としてやっぱりそうですよね。お客さんに常に全力を見せていくっていう。それは天龍さんらしいですね。