名手に導かれモズカッチャン女王杯制覇 ミルコ「ごめん」2着和田「おめでとう」

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一方で「悲しいです」とも……

2着に敗れた和田(奥)はすぐに「おめでとう」とミルコを祝福したという 【写真は共同】

 ただ、一方でミルコはこの勝利を「悲しいです」とも表現した。というのも、モズカッチャンは春のオークス2着まで和田のお手馬だったのだが、秋から主戦がミルコにチェンジ。競馬というのはシビアな勝負の世界であり、ジョッキーの乗り替わりというのは誰の身にも起こりうることだ。プロであるジョッキーたちもそれは覚悟の上だろうし、それだけに当人同士にはわだかまりはないだろう。それでもミルコは、かつての和田のお手馬で、今度は和田がこのレースで騎乗していたクロコスミアを2着に負かしてのGI勝利だっただけに、心中は複雑だったに違いない。嬉しいはずのGI勝利を、一方では「悲しいです」とも語ったのはそのためだ。

 そんなミルコを誰よりも早く祝福したのが、和田だった。

「おめでとう!」

 ゴール直後の馬上でそう声を掛けられたミルコは、「ごめんなさい」と返したというが、和田からのこの言葉が何より嬉しかったのではないか。

ますます混戦の牝馬戦線、来年の主役は?

モズカッチャンは18年牝馬戦線の主役となるか 【スポーツナビ】

 このエリザベス女王杯をもって、2017年の3歳以上の牝馬限定GIレースはすべて終了。桜花賞からこのエリザベス女王杯まで勝ち馬を振り返ると、全て異なる結果となった。いや、GIに限らず重賞全体を見ても、牝馬限定戦はレースごとに勝ち馬が目まぐるしく変わる1年だった。一見、主役不在とも受け取れるが、今年の牝馬戦線を見てきた印象としては、そうしたネガティブな意味合いはなく、どの馬もハイレベルで、それが横一線。それだけに、来年は誰がここから一歩抜きん出るのか――牝馬戦線がますます面白くなるだろう。

 厩舎開業18年目、GI挑戦延べ62頭目にして初のビッグタイトルを手中に収めた鮫島調教師によれば、次走に関しては「秋3戦というのをもともと予定していたので、この後は少しゆっくりして英気を養ってもらおうと思います」と話し、年内もう1戦使うかどうかは「今のところ考えていない」という。モズカッチャンの真価も来年、改めて問われることになる。

「今でも十分くらいにすごく走ります(笑)。もう少し成長したら、本当に楽しみですね!」とミルコ。願わくは、牡馬混合のレースではなく、ソウルスターリングも含めた牝馬のオールスター戦が来年実現してほしいところだ。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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