最高の状態とは程遠いレアル・マドリー 調子を落とすBBC、ジダンの評価も変化

ゴールが遠いC・ロナウドとベンゼマ

ラ・リーガでゴールから遠ざかっているC・ロナウド。チャンスを逃して悔しがる表情が多い 【写真:ロイター/アフロ】

 先発組からベイルの名が消え、かつてクラブの象徴的存在だった3トップがそろい踏みする機会は激減した。では「BBC(ベイル、カリム・ベンゼマ、C・ロナウドの3トップ)」を構成していた他の2人はどうなっているのか。

 ラ・リーガにおけるC・ロナウドの現状は驚くべきことだ。CLでは今季も歴代最多得点数を更新し続けているにも関わらず、過去何年もピチーチ(ラ・リーガの得点王)争いを繰り広げてきたリオネル・メッシに10点差以上もつけられているのだから、ただ事ではない。

 C・ロナウドは今季のラ・リーガでまだ1ゴールしか挙げておらず、ベルナベウでは昨季のホーム最終戦を最後にゴールから遠ざかっている。彼がため込んだフラストレーションの大きさは、今やチャンスを逃すたびに見せる表情が何よりもよく物語っている。

 ベンゼマはまた異なる状況にある。ベルナベウのスタンドから野次や口笛を受けるようになっている彼については、最大の擁護者であるジダンもゴール欠乏症を認めている。ジダンは11月のリーグ中断期間を使い、これまでレアル・マドリーに多大な貢献をしてきたにも関わらず、満場一致の評価を得ることがなかったストライカーをメンタル面でサポートしなければならない。

年末にはクラブW杯も控える

BBCの1人ベンゼマ(左)もゴール欠乏症に悩む。クラブW杯やクラシコまでに復調できるか 【写真:ロイター/アフロ】

 ここ最近のレアル・マドリーは他にも問題を抱えていた。守護神ナバスや右サイドバックのダニエル・カルバハル、セルヒオ・ラモスとセンターバックを組むラファエル・バランらの離脱がそうだ。

 彼らに逆境を乗り越える力がないわけではない。レアル・マドリーは各ポジションに素晴らしい選手をそろえた穴のないチームだ。年末にはUAEで行われるクラブワールドカップ(W杯)で、再び世界一の称号を手にするチャンスも控えている。それまでの1カ月間のうちに、彼らは最高の状態とは程遠い現状を覆さなければならない。

 ラ・リーガではバルセロナとのエル・クラシコも1カ月半後の12月23日に迫っている。その頃には、恐らく首位通過はではないものの、CLの決勝トーナメント進出も決まっているはずだ。そして1月には、シーズンを決する山場が始まる。多くの選手たちにとって、その先にはロシアでのW杯も視野に入ってくることだろう。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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