近藤明広、世界戦敗戦も残した価値 米国リングで日本人選手の評価を上げる

杉浦大介

米国における日本人評価が上昇

近藤は会場のファンを飽きさせないエンターテインメントを提供した 【写真は共同】

 実際に中盤ラウンドのリピネッツには余裕は感じられず、米国内で試合を中継した「Showtime」の放送席の採点は114−114のドローだった。これはやや近藤に甘過ぎとしても、リングマガジンもわずか2点差でリピネッツだ。

 試合後、6〜8ポイント差という採点が発表されると同時に、場内に大ブーイングがわき起こったことが示す通り、公式採点は少々差がつき過ぎという印象もある。だとすれば、近藤の戦いぶりは、最近は米国内で上昇中の日本人ファイターの評価を下げるものではなかったはずだ。

 7〜9月に三浦隆司、亀海喜寛(ともに帝拳)、井上尚弥(大橋)と3カ月連続でHBO興行に登場したように、ここに来て日本人選手が米リングに頻繁に登場するようになった。今回の近藤の後も、12月9日には尾川堅一(帝拳)がテビン・ファーマー(米国)を相手にラスベガスでIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦を行うことも決まっている。

「日本人選手は伝統的にとても手数が多く、アクションを供給してくれます。近藤も同様であり、彼がリピネッツと対戦すればエキサイティングなファイトになることは間違いないはずです」

 リピネッツ対近藤を中継することが決まった際、「Showtime」の幹部であるスティーブン・エスピノーザ氏はそう述べていた。今夜は“エキサイティング”とまでは言えない内容だったかもしれないが、それでも近藤は旺盛な闘志で前に出て、会場のファンを飽きさせないエンターテインメントを提供してくれた。

絶対不利でも米リングに乗り込んだ心意気

「彼は鉄のアゴを持っていた」「誰でも破壊できるわけではないことを学んだ」

 試合後のリピネッツのツイートを読んでも、近藤のタフネスに感心したことが伺い知れる。“常にトップコンディションで、最後まで諦めず、豊富なスタミナで手を出し続ける”。近藤の戦いぶりも、米リングにおいて感謝されつつある日本人ボクサーのそんなイメージ通りのものだった。

 もちろん目標にしていたタイトル奪取がかなわなかった時点で、慰めにもならないかもしれない。それでも、そのファイトでジャパニーズの価値を再び少なからずアピールした。そういった意味で、絶対不利の予想の下でニューヨークのリングに上がった近藤は胸を張って良いようにも思えるのである。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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