ダルビッシュ、1回2/3でKOの理由 「ストライクを投げるまで」は修正も…

丹羽政善

ワールドシリーズ第7戦、1回1/3でマウンドを下りたダルビッシュ(右から2人目) 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 季節外れの猛暑に見舞われた第1、2戦とはうって変わり、曇り空の中で迎えたワールドシリーズ第7戦。11月1日、午後4時35分頃(現地時間)、ダルビッシュ有がフィールドに姿を見せると、レフトスタンド、三塁側内野席から、歓声が沸き起こった。

 レフトの芝の上をゆっくりと走り、最後はダッシュ。その後、一旦、フィールドから消え、戻ってからキャッチボールを始めたのが午後4時50分頃。そのままレフトポール脇にあるブルペンに入ると、国歌斉唱による中断を挟んで約30球を投げ、最後は打者を左右に4球ずつ立たせて、締めくくった。

 ほどなくしてドジャー・スタジアムに、レンジャーズ時代からの登場曲でもあるSoulja Boy Tell'emの「Crank That(Soulja Boy)」が、聞こえてくる。

 午後5時21分、プレーボール。

 しかし、ダルビッシュが1点を失うまでわずか4球。数分の出来事だった。

スライダーに自信が持てずに被弾

 くしくも第3戦と同じ1回2/3での降板だったものの、同じ1回2/3でも第3戦とは意味合いが異なる。ここで代えるのか? 前回はデーブ・ロバーツ監督のせっかちな一面がのぞいたが、第7戦の交代は、記者席から異論が出ることもなかった。

 初回、ジョージ・スプリンガーに二塁打を許したのをきっかけに、失策も絡んで2点を失った。2回、無死二、三塁のピンチを迎え、1死後、セカンドゴロの間に1点を追加される。

 ここで再び打席にスプリンガー。ここをきっちり抑えていれば、ダルビッシュもリズムに乗れたかもしれないが、真ん中低め――スプリンガーがもっとも得意とするコースに95マイル(約153キロ)の真っ直ぐが吸い込まれていくと、快音がこだま。ダルビッシュは打球の行方を追わなかった。

 捕手のサインは、“スライダー”だったと、試合後にダルビッシュが明かしている。しかし首を振って、真っ直ぐ。初回にスプリンガーにスライダーを二塁打されていたのが、頭をよぎった。 

「スライダーに角が出てくれないというか……。最後も結局、3ボール2ストライクから(捕手のオースティン・)バーンズはスライダーを要求したんですけど、今日のスライダーのクオリティーだと、やっぱり同じことになると思って、真っ直ぐを選んだ」

 スライダーに自信を持てなかった。それがつまるところ、この日――第7戦のピッチングを苦しめた。

1/2ページ

著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

新着記事

編集部ピックアップ

西郷真央は31位で決勝へ 畑岡奈紗、古江…

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント