「ケガで大変な思いをしたけれど…」 フィギュア宮原知子、復帰への心境語る

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ケガからの復帰が近づく宮原知子。五輪に懸ける思いを語ってくれた 【坂本清】

 2014年のソチ五輪以降、宮原知子(関西大学・木下グループ)は日本の女子フィギュアスケート界をけん引してきた。全日本選手権3連覇(14年〜16年)、世界選手権2位(15年)、グランプリ(GP)ファイナル2年連続2位(15年、16年)と、その実績は他の追随を許さない。来年2月に行われる平昌五輪への歩みは順調そのものだった。

 しかし、今年1月に左股関節の疲労骨折が判明。「ここまで大きなケガは初めてですし、そのときは受け入れられなかった」と、宮原は苦しい胸の内を明かす。氷上を離れている間に、三原舞依(シスメックス)や樋口新葉(日本橋女学館高)が世界の舞台を経験し、著しい成長を遂げた。平昌五輪の出場枠は2つ。11月のNHK杯が復帰戦となる宮原に、今季に懸ける思い、そしてケガをしてからどのように過ごしてきたのかを語ってもらった。

「初志貫徹」をテーマとした理由

――いよいよ五輪シーズンが本格化します。GPシリーズのテーマを「初志貫徹」としていました。

 これからシーズンに入るにあたって、いろいろなところで今季のテーマを聞かれるなと思って、本当にいつも迷うんですね(笑)。結局ありふれた「楽しむ」とか「ノーミスで頑張る」とかそういうことしか言うことができないので、何か1つ座右の銘ではないですけど、明確にテーマを持っていたほうがいいのかなと思って、いろいろと考えて、この言葉にしました。

――どのような意味が込められているのでしょうか?

 昨季はケガもあって、今までにはないような大変な思いやさまざまな経験をしました。そうした中で、どんなことがあっても、最後は自分の一番良い演技をして、全日本選手権で悔いのないように終わるということを目標にしているので、このテーマがぴったりだと思っています。

GPシリーズのテーマは「初志貫徹」。そこには、どんなことがあっても悔いのないように終わるという思いが込められている 【坂本清】

――ちょうどシニアに上がったのが4年前のソチ五輪のシーズンでした。全日本は4位で惜しくも五輪出場はなりませんでしたが、それからの歩みを振り返ると、どういう4年間だったと思いますか?

 ソチのときは五輪に行きたいというよりは、「もし出られたらラッキーだな」くらいに思っていました。全然実力もなかったですし、本当にジュニアの選手という感じだったので、そのときから比べても、シニアの大会に出場するようになり、世界の中でもだんだん点数的に戦えるようになってきたと思います。五輪を目指せる位置に来たという思いもありますし、せっかくここまで来られたので、頑張ろうという強い気持ちがあります。

――4年前はそれほど五輪を現実的なものとはとらえていなかったのですか?

 全日本では浅田真央さん、鈴木明子さん、村上佳菜子さんといった、自分がいつもテレビで見ている選手と一緒に滑る中で、自分がどれだけ良い演技をするかということしか考えていませんでした。五輪シーズンなので、みんなはこの日のために練習してきたんだろうなと思っていましたが、自分としては全日本という大きな舞台で良い演技ができたらいいなという思いしかなかったです。

「もうずっと時が止まっている感じ」

女子のエースとして日本フィギュア界をけん引する宮原。しかし、気持ちとしてはシニアにデビューしたころと変わらないという 【坂本清】

――エースとして日本の女子フィギュアをけん引する立場ですが、現在のご自身の立ち位置についてはどう考えていますか?

 ここまで全日本で3連覇して、世界選手権でも一度2位になりました。自分のできる演技をしっかりやれば世界でも通用する滑りになってきたと思うので、自分のためにも今できることをやらなければいけない立場だと思っています。

――宮原選手も19歳と十分若いですが、女子はさらに低年齢化が進んでいます。この現状はどう考えていますか?

(本郷)理華ちゃん(邦和スポーツランド)が1学年上ですけれど、あとはみんな自分より年下の選手で、いつの間にか上の方になってきました。自分の気持ちとしては、まだまだシニアに上がったときの感覚や気持ちは変わっていなくて、もうずっと時が止まっている感じがしています。

今季のプログラムはショート、フリー共に和のテイスト。「日本らしい演技で攻めたい」と、その狙いを明かす 【坂本清】

――フリーでは『蝶々夫人』を演じます。どういう部分で自分らしさを出そうと思っていますか?

 日本らしい振り付けが自分の中で得意という気持ちがあって、滑りやすいプログラムです。感情はあまり外に出しませんが、強さを感じるという滑りで自分らしさを伝えたいと思います。私自身もすごく恥ずかしがり屋なので、感情が表に出ないという意味で、そこが演技には良い部分になっていると思います。

――ショートも『SAYURI』で、フリー同様に和のテイストです。五輪シーズンということで、あえてそういう曲を選んだのでしょうか?

 私自身は特別五輪を意識したわけではないんですけれど、振り付けの先生方にきっとこういう曲が似合うということで選んでいただきました。五輪シーズンでもありますし、日本らしい演技で攻めていくのもいいんじゃないかということで、この2曲にしています。

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