3000m&台風に屈しないド根性馬は? 空前の大混戦、菊花賞の競馬記者座談会

競馬専門紙「優馬」

今年のレベルなら 通用していい上がり馬

デスク「菊花賞と言えば上がり馬。特にダービー馬が不在の今年は、狙える馬も多いんじゃないかと思えるし、過去を振り返っても古馬1000万を勝って臨む馬が結構馬券になっているんだよな」

久光「中でも狙い目はトリコロールブルーですね。春は、スプリングSから青葉賞と、3度の東上の間に見る見る体調を落としていて、特にイレ込みが酷かった青葉賞ではグリーンチャンネルのパドック解説でも酷評した記憶があります。前走はプラス32キロと、馬体をV字回復させての快勝でしたが、パドック映像でのリラックスした気配は、春とは別馬に感じましたね。ひと夏越しての成長に加えて、馬場や距離にも不安はないだけに、互角に戦えると思います」

田崎「僕もさすがにトリコロールブルーの前走のプラス32キロは、太目残りなのかと思いましたが、これはそっくり成長分と見ていいですね。近年の菊花賞では、内枠を引いた馬の好走が目立っていますが、元々センスのいいタイプですから、枠を味方に付けるシーンも十分アリかと思います」

広田「陣営も前走のプラス体重は“減っていた分の回復と成長分”という判断です。着差以上に強い勝ちっぷりでしたが、キレるというよりは渋太いタイプですから、道悪で乱戦になれば食い込む余地がないとは言えませんね」

小野智「戸崎圭騎手は、前走でクビ差2着だった馬の次走に注目していて“どんだけ強い勝ち方をするのか”と思ったら、断然人気で3着に負けて“アレレ?”とトーンが下がったそうです。ただ、栗東へ追い切りに乗りに行って感触はしっかりと掴んだようですし、“最善を尽くします”とのことでした」

小桧山マイネルヴンシュは、輸送による馬体減りを考慮して、15日に栗東入りし、金曜に京都競馬場へ移動する気の使いよう。前走より減らなければ、素質や血統から軽くは扱えないぞ。本当に良くなるのは4歳になってからかもしれないけど、馬場の悪化もあってよりステイヤーの血が生きる競馬になれば、一発があっていいと思うけどな」

吉田「これまた1000万勝ち上がり組ですが、クリノヤマトノオーが面白いんとちゃいますか。前走こそ出遅れから一気の脚を使っての差し切りでしたが、本来は好位で運んで競り合って渋太い馬。そういう競馬やった2・3走前でも、前半で頭を上げて口を割るなど、フルに力を出し切ったわけではないように思えますし、秘める能力はかなりのレベルなんやないかと……。中1週で地味な追い切りだったとはいえ、前後肢を大きく広げて走るフットワークは、まさに長丁場向きという感じやったし、大穴として買ってみたいですわ」

那谷「上がり馬ではないけれど、穴馬として面白いのはクリンチャーだよ。父のディープスカイは、現役の種牡馬の中で産駒の道悪での勝率がかなり高いんだ。そもそも皐月賞でコンマ4秒差なら、能力的に大きく劣るわけでもないし、内枠の利を生かせれば粘り込みもあっていいと思うぞ」

伊利「菊花賞こそ血統的アプローチがモノを言うレースだと思いますが、僕もクリンチャーですね。産駒のナリタブライアン、マヤノトップガンが連覇しただけでなく、この馬と同じく母の父としてもスリーロールスを送り出しているブライアンズタイムの血を信じたいです。手応え以上に渋太かった皐月賞で見せたスタミナが、この舞台で生きると思いますよ」

デスク「あとは、ダービー出走組では4着と最先着だったマイスタイルの名前が挙がっていないけど」

福田「追い切り後の水曜の取材で“道悪は苦にしないので内枠が欲しい”と話していた昆師やけど、枠順決定後に話を聞いたら“これだけは致し方ない。どう乗るかは鞍上に任せるだけ”と、言葉も少なめやったわ。ロスなく運んで消耗戦になれば、と思うとったけど、この枠ではさすがに厳しいでぇ」

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著者プロフィール

競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

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