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赤ヘル黄金期の1番・高橋慶彦氏が指南
緒方カープに説く『短期決戦の心得』
独走の末、37年ぶりのリーグ連覇を果たした広島。緒方孝市監督を中心に、昨年つかめなかった日本一に向けた短期決戦に臨む
独走の末、37年ぶりのリーグ連覇を果たした広島。緒方孝市監督を中心に、昨年つかめなかった日本一に向けた短期決戦に臨む【写真は共同】

 18日からクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージが開幕。いよいよ緒方孝市監督率いる広島の日本一への戦いが再開する。昨年は北海道日本ハムの前に2勝4敗で敗れるも、そこから37年ぶりのリーグ連覇を果たし、日本一再挑戦への切符を手にした。今回は1979年の日本シリーズでMVPに輝くなど、赤ヘル黄金時代のリードオフマンとして数々の栄光をつかんだ高橋慶彦氏に、現在のカープと短期決戦の戦い方、日本一への心得を聞いた。

「今の方が連覇は難しい」

――今季、広島が37年ぶりのリーグ連覇を果たしました。黄金期再来と言われる現チームを見て感じることは?


 スカウトを含め、フロントと現場が一体となって、コツコツとチームをつくってきた成果が出た。今の時代はFAでの流出などもあって、なかなかいいチームをつくるというのが難しい中で、自分たちのやり方を貫き通してきたことが大きいね。選手が育つには、どうしても時間がかかる。それは仕方がないことだけど、求められているのは、その時間を短くすること。FAで主力が出て行く前に新たな選手を育てないといけない。そういう意味でも、スカウト陣の眼力、球団としての育成方針がしっかりしていないといけない。


――野手だけを考えても、菊池涼介、丸佳浩、田中広輔、そして鈴木誠也と生え抜きの選手がしっかりと主力に定着した。


 自前で育てる、育てないといけないというものもチームに根付いているし、そのノウハウも蓄積されている。そのお陰で、今のカープは本当にいい具合で戦力がそろっている。逆にFAで選手を獲得した他球団がうまく行ってない。選手として上り調子の時に獲れたらいいけど、だいたいが下り坂になってきた頃に来るから、どうしても期待以下の成績しか残せない場合が多い。でも実績はあるし、取ってきたからには使わないといけない。すると若手の出番がなくなる。その面では広島は一貫しているからね。


――野村謙二郎監督となった2010年以降、徐々に力を付けてきた。だが、数年はAクラス止まりで、優勝争いからは脱落していたが?


 やはり、黒田(博樹)の加入が大きかった。野球以外のスポーツでも何でも、経験というものは非常に大事になってくる。そして、その経験をどうやって受け継いでいけるか。その役割に、黒田がピタリとハマった。実績は申し分ないし、しっかりと言葉で伝えることができる。それに対して、若手も聞く耳を持っていた。そこの関係がうまくいったのが、やはり非常に大きかったと思う。


――広島のリーグ連覇は1979年、80年以来だったが、当時のチームを振り返って思い出されることは?


 あの頃も選手が豊富にいて、充実していた。当時はFA制度がなかったから、ドラフトで取った選手をじっくりと育てることができたことも大きい。移籍することもほとんどなかったから、年齢層も若手からベテランまでそろっていた。チームをつくるのにじっくりと時間をかけられたし、同じメンバーで長い間戦うことができた。でも今の時代は違う。だから同じ連覇でも、今の方が難しいと思う。

短期決戦は「最初の打席」が重要

――昨季は25年ぶりのリーグ優勝を果たしたが、そこでの達成感というものが日本シリーズの勝敗に影響する部分もあったのでは?


 選手たちは否定するでしょうけど、やっぱりどこかにホッとした気持ちはあったと思う。周りのファンも含めて、優勝できたという達成感はあったでしょうね。それに、25年ぶりですから、ほぼ初めてみたいなもの。シリーズの雰囲気が分からないまま終わってしまった感じだと思う。でも今年は去年とは違う戦い方ができる。CSの戦い方も分かっている。個々が経験を積んで、余裕が出てきたからこそ連覇できた訳だし、去年の経験は必ず今年に生きてくる。あまり“リベンジ”と考え過ぎない方がいい。それよりも自分たちの野球を追求すること。緒方監督も去年の経験があるから、采配にも余裕が出て来るはず。


――昨年の日本シリーズは、第3戦でサヨナラ負けしてから4連敗しての敗退となったが?


 とにかく流れを相手に渡さないこと。3連勝したって4連敗する。シーズンの覇者同士の場合、力的には五分五分。どっちに流れが傾くかの話。だから流れがこっちに来た時は、絶対に相手に渡したらダメ。余裕こいて何かをしようとしたらダメ。攻める時は攻め切らなアカンよ。“チェックメイト”するまでは油断してはダメ。ペナントレースはチームの総合力の勝負になるけど、短期決戦においては勢いをつかんだ方が勝つ。


――昨年の打線を見ると、CSで打率8割3分3厘だった田中広輔が日本シリーズでは1割6分と低迷してしまったが?


 短期決戦で重要なのは、最初の打席。後からいくらでも巻き返せる長丁場のペナントレースと違って、日本シリーズではヨーイドンのスタートが大事。早めに結果が出れば波に乗っていけるんだけど、そこでつまずいてしまうと調子を取り戻す前にシリーズが終わってしまうことになる。取り返す時間がないと、焦る。焦れば焦るほど、悪い方、悪い方にはまっていってしまう。


――高橋慶彦さん自身、79年の日本シリーズでは打率4割4分4厘でシリーズMVP、84年の日本シリーズでも打率5割の好成績を残して日本一に大きく貢献した。短期決戦、日本シリーズにおける心の持ち方は?


 第一は、楽しむこと。そのためにも、できるだけ早く1本打ちたい。打てないと本当に焦るからね。でも、もともと楽しいから野球を続けてきたはずだし、大舞台でプレーできるということは絶対に楽しいはず。日本一を取りに行くという戦いを楽しめるようにならないといけないし、そういう余裕をチーム全体が持てるようになってくると戦い方も変わって、より一層強くなれる。

ベースボール・タイムズ
ベースボール・タイムズ

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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