広島がファーム日本一に輝いた理由 CSで活躍うかがう「稲穂」たち
中村祐太のブレイクも2軍から
今季1軍で初勝利を含む5勝を挙げた中村祐太。2軍から飛躍を遂げた筆頭例だ 【写真は共同】
筆頭例は4年目の今季、プロ初勝利をマークし、クライマックスシリーズ(CS)での登板も考えられる中村祐太だ。中村は1軍で5勝を挙げたものの、調子の波はあった。5月に初勝利を挙げながらも、交流戦の時期から状態が上がらず、6月、7月と相次いで2軍降格を味わった。
そんなとき、いち早く彼に的確なアドバイスを送ったのが佐々岡真司2軍投手コーチだった。
「テークバックができていない。腕が遅れるだけ、体が開いてしまう」
課題も明確に2軍での再調整に臨んだ中村は、持ち前の伸びのあるストレートを取り戻し、シーズン終盤に1軍で好投を演じるようになった。ブレイクのシーズンを迎えた若武者は、一気にCSの先発候補に名乗りを挙げるまでになった。
バティスタ、メヒアは育成能力の賜物
1軍で15勝をマークした3年目の薮田和樹も、2軍時代の取り組みが実を結んでいる。「崖っぷち」の危機感から必死で食らいつく岩本は、3割7分5厘のハイアベレージでレギュラーシーズンを終えた。さらに、ファーム日本選手権で決勝3ランを放った19歳・坂倉将吾からは、早くも大器のムードが漂っている。
1軍のリーグ優勝に戦力を供給した、秋。33年ぶりの日本一へ鍛え抜いた選手を送り込む、秋。ファーム日本選手権で勝利の味を知った、秋。伝統の猛練習に耐え抜いた「稲穂」は「こうべを垂れながら」、次なる戦いをうかがっている。