ハリル「レベルの低いものを見せた」 国際親善試合 ハイチ戦後の会見

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ハリルホジッチ監督は「われわれにとって最も良くない試合のひとつ」とハイチ戦を表現した 【写真:高須力】

 サッカー日本代表は10日、日産スタジアムで国際親善試合のハイチ戦に臨み、3−3で引き分けた。日本は前半7分に倉田秋、17分に杉本健勇のゴールで2点のリードに成功したが、28分に失点し、2−1で試合を折り返す。後半、ハイチに連続ゴールを決められて一時は逆転を許すも、試合終了間際に香川真司がゴールを決め、3−3で辛くも引き分けに持ち込んだ。

 試合後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「われわれにとって最も良くない試合のひとつ」とハイチ戦を表現。「ゴールをしてから、すべてが止まってしまった」「長年監督をしてきて、こんなに良くない試合は初めてだ」と落胆した。また、引き分けた要因については「怒りと理解しがたいことで、本当に説明がつかない」とコメント。「しっかり、いろいろなことを分析しないといけない」「次の対戦相手は、もっとハードルが高い。われわれの幻想は打ち砕かれるだろう」と11月のブラジル・ベルギーとの2連戦に危機感を示した。

心理面で何人かの選手がもろかった

 このような試合を見せてしまい、われわれとしては分析が難しい。われわれにとって最も良くない試合のひとつだろう。多くのチャンスを作って2−0にしてから、選手たちの頭の中に何が起こったか、私には分からない。ゴールをしてから、すべてが止まってしまった。今日は、これまでプレーしてこなかった選手にかなりのチャンスを与えた。選手たちも(最終メンバーの)候補に入りたいだろうから、いろいろ見せてくれたと思うが、長年監督をしてきて、こんなに良くない試合は初めてだ。さまざまな良くない現象が起こった。このような試合の後に、ワールドカップ(W杯)の話をするとおろかに思われることだろう。

 私自身、サポーターの皆さんに声を大にして「(試合に)来てください」と言っておきながら、このような試合をしてしまったことについては謝罪したい。多くのサポーターが来てくれて、いい雰囲気を作ってくれた。良い試合をするために、すべてのコンディションは整っていたと思うが、このような内容の試合をしてしまった。これはヴァイッドの責任だ。

 フットボールにはいろいろなことが言えるが、私自身は受け入れ難いものを見た。これからしっかりトレーニングして、批判をすべて受け入れたい。いろいろな面でレベルの低いものを見せてしまった。

 ハイチ代表については、彼らなりのプレーをしてわれわれを苦しめたことについては祝福したい。3本のシュートで3点を取った(※実際には10本)。今日は冷静になれないので、なかなか説明がつかない。私の就任以来、こんなに良くない試合は見たことがない。9人新しい選手を使ったからかは分からない。そして怒りと理解しがたいことで、本当に説明がつかない。

 2−0にして、いろいろなチャンスがあって、もっと得点できると思ったが、1失点目でチームが存在しなくなった。ニュージーランド戦でも同じ現象が起こっていた。心理面で何人かの選手がもろいのかなと思った。本当にやるべきことがたくさんある。次の対戦相手は、もっとハードルが高い。11月の試合の相手はかなりのレベルだし、われわれの幻想は打ち砕かれるだろう。世界でも有数の2カ国とやらなければならない。(今回の2試合とは)まったく異なる相手だ。このような試合を繰り返してしまうと、ひどい状況になる。ここまでしっかり(チームを)作ってきたが、1試合、2試合ではまだまだパワーを出し切っていないし、まとまり切っていない。そこに対しては、しっかり疑問を抱かなければならない。

私自身に怒りを感じている

──ハーフタイムにどのようなことを要求したのか?(大住良之/フリーランス)

(長友)佑都がけがをして、浅野(拓磨)もひざに問題を抱えていたので代えた。ゲームコントロールに関しては、3点目を取って前半の入りのようなプレーを要求した。3点目が(早い時間帯で)取れれば違う展開になっていたと思う。ただ、何人かの選手の脆さには驚いたし、ちょっとがっかりした。対戦相手はそれほど強豪国というわけではないのに、ナイーブさからパニックになった。いろいろなことを分析しないといけない。

 私が選手を選んだわけで、私にも責任はある。ただ前半の20分は何回かチャンスがあって、4点、5点を簡単に入れることができた。もしかしたら、われわれの方が技術的に優位だと思ってしまって、気が抜けてしまったのかもしれない。そして失点した。まさにニュージーランド戦と同じ現象だ。しっかり、いろいろなことを分析しないといけない。何人かの選手には、日本代表でプレーするのであれば、もっと考えないといけないと言わなければならない。まったく別なものを見せなければならない。

 この1試合で、決定的な意見が出るわけではない。(それでも)このような試合をしてしまったら、全員が疑問を抱かなければならない。相手がブラジルだったら10失点しているだろう。そういうことを意識しないといけない。気が緩んだ選手、守備に戻らない選手、準備ができていない選手がいた。(私は)もっと違ったものを要求していた。気の緩み、相手のラッキーもあって、そのあと(逆転されたから)追いつくのが大変だった。

──世界的な強豪というわけでもない相手に3失点したのは、吉田麻也の不在が大きかったように思うが、守備陣に関してどう思うか。特に槙野智章はプレーが軽かったようにも感じたが。

 中盤と前を本格的に変えた。お互い初めて連係をとったということもあった。結果だけ求めるなら、このようなメンバーは選ばない。ただ、トライさせないといけない選手がたくさんいた。いろいろな選手にチャンスを与えないといけない試合だった。将来、けが人が出てしまったら、われわれが「スター」と呼んでいる選手が出場できなかったら、若い選手にもチャンスを与える必要がある。

 この2試合で約20人の選手を使った。この2試合ともビッグマッチは期待していなかった。ただこの2試合目に関しては、本当におかしいと思った。2−0になって、いいアクションもあって、急にストップしてしまった。精神面、メンタル面でのもろさが見えた。あまり出番がなかったとしても言いわけにはならない。もう少し違ったものを見せてほしかった。ディテールには入りたくないが、私が28試合目(※1:実際には31試合目)で本当に最悪な試合をしてしまった。いろいろな意味で最悪だった。私は私自身に怒りを感じている。監督が第一の責任者だからだ。

 いろいろなディスカッションをして、「W杯マインド」という話もして、「ここから始まるんだぞ」という話もしたにもかかわらず、こういう内容だった。私がしっかり考えないといけない。本大会の3試合はかなりハイレベルな試合が続く。規律がなくて、混乱してしまうのは良くない。繰り返しになるが、メンタル面でもろさが出たのが一番ショックを受けたところだ。ただトレーニングを続けるだけだ。皆の前で恥をさらしたが、まだまだ本大会に向けて準備はできていない。

 最終予選で1位に終わって、得点が最も多くて(※サウジアラビアと同数)失点も少なくて、それでも本大会に向けて準備ができていない。ヴァイッドが厳しすぎるんじゃないかと皆さんは言われるが、そうではない。すべての面でトレーニングが必要だ。11月の試合は本当に大きな大きなテストになる。世界の現段階での2強とやるわけだから。そこからいろいろな考え方が導き出されるだろう。

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