ソフトB世代交代の象徴・上林誠知 川崎と内川が認めた「モンスター」

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「背番号51」に愛着はあるが…

憧れのイチローと同じ「背番号51」の右翼手。51番には人一倍愛着はあるものの、内川からは「背番号1」の後継者と言われている 【写真:BBM】

 選手寮がある福岡・筑後市のファーム施設は車でも片道1時間以上かかる。球団は本拠地・ヤフオクドームで試合があるときは、近隣のホテルに宿泊させていた。だが8月中旬からは、ナイターの翌日がデーゲームのとき以外は筑後市の寮から通勤するようにルールが変わった。1軍にも寮生が増えたこともあり、球団は若手教育に特例を認めるべきではないと決めた。

「正直、きついですよ」

 疲れが出てきたシーズン後半、自身は車を運転しないため寮生の車か、九州新幹線とタクシーを乗り継いで通勤した。それでも早出特打の前から藤本博史打撃コーチを相手に打撃練習を欠かさなかった。

 あまり感情を表に出さないクールな性格だけに、首脳陣からは元気がないと映ることも多い。工藤監督からは高田知季、塚田正義(のちに甲斐拓也)と3人セットで「サイレントトリオ」と名付けられたほどだった。それでも、常に同じテンションでブレないキャラはナインからもだんだんと認められるようになった。

 まだ、左腕が相手になるとスタメンを外れたり、右の代打を送られたりする。クイックモーションに対応できず、チャンスで結果を残せないことも多く、真のレギュラーとして地位を確立したわけではない。「また、ここから調子を上げてクライマックスシリーズなどで打てるようにしないといけないですね」と、状態を上げて短期決戦で活躍し、ファンにも首脳陣にも強烈なイメージを残すつもりだ。

 背番号「51」はイチローと同じ。当然、愛着は人一倍ある。だが、師匠である内川から引退するときの後継者として、背番号「1」を受け継いでほしいと言われている。

「内川さんは本当にすごい打者。あと何年したらその時が来るか分からないけど、引き継いでもいいくらいの選手になっていないといけない。だからこそ、今年が大事なんです」

 収穫とともに課題もたくさん見つかったレギュラー1年目。だが、この先、この「モンスター」がどのように進化していくのか。考えるだけでワクワクさせられる。

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