B1初制覇へ、A東京が選んだ「変化」 ルカHCが理想とする高難度のバスケ
A東京は読売巨人軍になれるのか?
最激戦区を勝ち抜くために今期は「変化」を選択したA東京 【(C)B.LEAGUE】
今季は栃木、千葉に加えて昨季のファイナリストである川崎ブレイブサンダースが東地区にスライドしてきた。A東京はそんな最激戦区にあって選択したのは“変化”だ。他の強豪に比べても、より大きく人を入れ替えている。新ヘッドコーチ(HC)に就任したのはルカ・パヴィチェヴィッチ氏。今年6月までHC代行として日本代表の指揮を執っていた、旧ユーゴスラビア・モンテネグロ出身の指導者だ。代表では短期間に激しく堅固な守備、ピック&ロールと言われる戦術をチームに浸透させ、フリオ・ラマス現HCに引き継いでいる。
日本代表でもある田中大貴はチームの変化をこう説明する。「激しい、インテンシティー(プレー強度)の高いディフェンスを求めるコーチなので、昨年とそこが違うと思います。オフェンスは去年までディアンテ(・ギャレット)だったり個々の能力の高い選手がいましたけれど、今年は全員でどんどんボールを動かして、全員で得点を重ねる。そういうスタイルのチームになるという印象を持っています」
攻撃の中心だったギャレット脱退の影響
筑波大4年ながらA東京入りを決めた馬場。どのような活躍を見せるのか期待だ 【(C)B.LEAGUE】
田中はルカHCの指導スタイルをこう評する。「すごく細かい部分まで徹底するコーチだと思います。激しさと規律、プレーの正確性といったことに関しては要求が高い」
ルカHCについては他の代表選手からも「あんなに細かく指導されたのは初めて」という話を耳にしている。ピック&ロールはスクリーンを掛ける選手と、ボールを持って連動する選手によるコンビプレーで、双方のポジショニングと動きのタイミングが決め手になる。ルカHCは足の位置、身体の角度といった要素を5センチ10センチ、5度10度まで徹底的に指導するのだという。
今季のA東京は馬場雄大、安藤誓哉、小島元基といった若手のアウトサイドプレイヤーを新たに獲得した。馬場は筑波大の4年生として在学中の身だが、一足早いプロ入りを選択。195センチ・90キロという体格で走力や跳躍力に恵まれ、スキルも高い彼は東京五輪に向けた代表の中核でもある。昨年までは海外志向を公言していたが、代表でルカHCと出会い、国内でも能力を伸ばせるという確信を得て、A東京入りを決めた。