貫禄Vのタカマツ、成長した「見る力」 伝説的プレーヤーたちの背中を追いかけて
ジャパンOP、3年ぶり2回目の優勝
五輪女王ペア高橋・松友組が、ジャパンオープンで3年ぶりの頂点に立った 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
昨夏のリオデジャネイロ五輪で日本バドミントン界に史上初の金メダルをもたらした女子ダブルスの高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)が、国内で開催される最も大きな国際大会「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2017」で3年ぶり2回目の優勝を飾った。年間に世界各地で12大会を行うBWF(国際バドミントン連盟)スーパーシリーズの第8戦で、世界トップレベルの選手が参加する大会だ。リオ五輪直後に行われた1年前の前回大会では準優勝だったが、今年は、決勝で韓国ペアをストレートで撃破。場内の歓声に手を振って応える姿に貫録をにじませ、五輪女王の強さをしっかりと見せつけた。
ただ、2人に満足感はなかった。高橋は、試合後の記者会見で、男子シングルスのリー・チョンウェイ(マレーシア)がスーパーシリーズを40勝以上しているという話を紹介し「数えてみたら、私たちは今日でスーパーシリーズ9勝目。まだ満足できない。(女子ダブルスの)于洋、王暁理組と田卿、趙ユンレイ組(※ともに世界選手権を2度制覇している中国ペア。前者は、スーパーシリーズの年間成績上位8組が出場するスーパーシリーズ・ファイナルズを3連覇。後者は2012年ロンドン五輪で金メダル)も多分もっと勝っている。2ケタは行きたいし、まだまだ記録を伸ばしたい気持ちになっている」と飽くなき欲求を口にした。振り返ってみればリオ五輪での優勝翌日にも、男子シングルスで五輪を2度、世界選手権を5度優勝している「生きる伝説」林丹(中国)の名を挙げて、同様に主要大会すべてで優勝経験のある選手になりたいとも話していた。
追われる立場の苦しみ 日本人ペアに2連敗
表彰式で笑顔の高橋(左)と松友。五輪での金メダル獲得後は、“燃え尽き状態”に陥った時期もあった 【平野貴也】
今年は、日本代表の後輩である「フクヒロ」ペアこと福島由紀、広田彩花組(再春館製薬所)に2連敗を喫しており、五輪後の当面の目標だった世界選手権でも銅メダルで、銀メダルの福島、広田が成績で上回った。後続に追いかけられる2人が、追われる立場で苦しんでいるようにも見える状況だった。ところが、今大会では準決勝で福島、広田との世界選手権メダリスト対決にストレートで完勝。松友は「自分たちのプレーがしっかりできれば、正直まだ負けるとは思っていない」と揺るぎない自信を示した。
世界ランク10位以内に日本のペアが4組入る現状で、国内からライバルが出現したことについて聞かれた高橋は「日本人選手がライバルだとは考えたことがない。やっぱり、目指すところは于洋、王暁理組と田卿、趙ユンレイ組。日本人ペアに負けたから世界で勝てないと考えたことはない」と言い切った。追われる立場になったはずの高橋、松友だが、2人の目は、後ろなどまったく見ていなかった。