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“世界一の連係”が導いた劇的勝利
タカマツペア、バド史上初の金メダル
タカマツペアが、日本バドミントン界悲願の金メダルをもたらした
タカマツペアが、日本バドミントン界悲願の金メダルをもたらした【写真:Enrico Calderoni/アフロスポーツ】

 世界ランク1位と言われても、世界ナンバーワンの実力かどうかなんて、分からない。勝つべきと思われても勝てない苦しさを味わって、自信をそがれたこともあった。それでも変わらず、断言できることがあった。


「世界1位の実力はないと思うけど、コンビネーションは世界一だと思っている。それだけは負けたくない」


 高橋礼華は、そう言った。苦しくなっても壊れない、2人で1つの強固な力が劇的な逆転勝利を手繰り寄せた。

土壇場で生かされた経験

 リオデジャネイロ五輪のバドミントン競技は現地時間18日に女子ダブルスの決勝戦を行い、世界ランク1位の高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)が2−1(18−21、21−9、21−19)の逆転で昨年の世界選手権2位のデンマークペアを破って日本バドミントン界初の金メダルを獲得した。


 実力では優位と見られていた決勝戦だが、追われる立場の難しさに立たされた。流れが良くなったところで、ネットインショットを決められてしまうなど運も相手に味方した。大方の予想に反して第1ゲームを奪われ、ファイナルゲームもリードを許す時間が続いた。終盤は、16−16から3連続失点を喫して後がなくなった。


 しかし、過去の経験が力に変わった。2014年に初めて世界ランク1位になったが、以降も世界選手権では16強止まり。勝たなければいけないプレッシャーにのまれ、自分たちらしさを見失っていた。だからこそ、今度は土壇場で戦えた。高橋は「あっちに流れが来ていると思ってしまったけど、やっぱり負けたくないという気持ちが強かったので、何をしてでも拾って打ってやろうと思っていた」と言い、松友も「正直、もう負けたかなと思ったけど、1球でも多く相手に『おおっ』と思わせてやろうと思ってやっていた」と負けん気の強さを見せた。

自分たちらしいプレーで引き寄せた勝利

高校時代から長年磨き続けた連係を武器に勝ち上がった
高校時代から長年磨き続けた連係を武器に勝ち上がった【写真:ロイター/アフロ】

 16−19。あと1点を失えば相手は怖いものなしで攻めてくる。失敗は許されない。隙を作らず、丁寧さを失わず。ただし、攻撃的に仕掛けなければ相手が得意とする強打に襲われる。ペアのどちらか一方でも味方のプレーを予測し切れなければ、一気に攻めることはできない。


 しかし、高橋と松友には、聖ウルスラ学院英智高校時代で初めてペアを組んでから10年続けて築いた信頼関係がある。高橋は、大会前に「シングルスからダブルスに変えて良かった。違う物を持っている2人だから、一緒にできたときに、すごいことが起こるんじゃないかと思っている。私はシングルスをやっていて、自分がパワーのある方だと思っていなかったけど(パワーがあるタイプではない)松友と組んだことで引き出された。松友は私が打つ球を見て、それならこう(展開)すれば良いというプレーに気付いてくれた。同じタイプじゃない2人が組んだから(互いの長所に)気付けた」と話していた。


 それぞれの特徴をよく知り、互いの長所を使い合って、2人で1つになる。いま、自分の武器を使うのか、パートナーの武器を使うのか。使うために、自分は何をするのか。10年間で醸成された絶妙の調整加減が、土壇場で輝いた。16−19から4連続得点で20−19。ラリーから高橋がスマッシュを打ち込み、相手がレシーブしたシャトルがネットに捕まった瞬間、金メダルが決まった。5連続得点の大逆転で、松友は「金メダルが、というより、あの場面で自分たちのプレーをできたことがうれしい」と言葉に実感を込めた。

平野貴也
平野貴也
1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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