【ボクシング】ゴロフキン対カネロは痛み分けドロー 内容は“年間最高試合”も判定に疑問符

杉浦大介

2人は早期リマッチを希望

来年には36歳という加齢も、ゴロフキンが狙われる要因になる。果たして早期リマッチとなるか 【Getty Images】

“2017年最大の一戦”と称されたビッグファイトを終え、結局はミドル級の覇者が生まれなかった。宴の後で、“痛み分け”の形になった両ファイターはそれぞれ再戦希望を述べている。

「もちろんリマッチしたい。次こそ本当の試合がしたい」(ゴロフキン)

「人々が再戦が見たいなら、答えはイエスだ。彼が勝ったわけではなく、引き分けだ。2試合目が行われたところで、私が勝つよ」(カネロ)

 ミドル級周辺にはほかにもミゲール・コット(プエルトリコ)、デビッド・レミュー(カナダ)、ダニエル・ジェイコブス(米国)、WBO世界ミドル級王者のビリー・ジョー・サンダース(イギリス)といった強豪がおり、ゴロフキンとカネロのダイレクトリマッチはないかもしれない。また日本時間10月22日の村田諒太(帝拳)対アッサン・エンダム(フランス)の勝者、ミドル級に転向したばかりの元世界スーパーウェルター級王者ジャモール・チャーロ(米国)まで含め、戦線はより活性化しそうな予感も。ただ、カネロ側は再戦オプションを保持しており、“ゴロフキン対カネロ2”がそれほど遠くない将来に実現しても不思議はない。

再戦があるなら誰もが納得する環境で

共に早期リマッチを願っているが、周辺階級には、多くの強豪がそろっている 【Getty Images】

 すっきりしなかった第1戦の後でも、このカードこそが興行面で依然として業界最大。カネロはミドル級の準備、戦いにも徐々に慣れるだろうし、ゴロフキンは来年4月には36歳とさらに加齢する。このようにカネロ側にとってポジティブな材料が少なくないだけに、再戦の引き金を引く可能性は高そうだ。そして、あくまで個人的な思いだが、リマッチがあるなら、カネロにとって“ホーム”であるラスベガスではなく、異なる環境で行って欲しいと願わずにはいられない。

 カネロ陣営はすでに米国東海岸進出希望を述べており、特に“殿堂”と呼ばれるマディソン・スクウェア・ガーデンは格式的にもミドル級のメガファイトには最高の舞台。旧ソ連系移民の多い“ゴロフキン寄り”のニューヨークに自ら飛び込めば、カネロは再びリスペクトも得られる。だとすれば――。

 ミドル級頂上決戦のリマッチは、ボクシング界の信用が問われるイベントであり、カネロがプライドを取り戻す舞台。そんな重要なファイトが、まずは早期実現することを祈りたい。そして、再びのエキサイティングな試合内容とともに、今度こそ誰もが納得する結末が出ることを望んでいるファンは多いはずである。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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