オークス組の取捨がカギを握るローズS ファンディーナ「消し」ではないが……

JRA-VANデータラボ

前走オークス組の好走馬

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表4は、カギを握る前走オークス組の好走馬14頭である。以前はオークス凡走馬でもチャンスはあったが、12年以降は傾向に大きな変化があり、ここ5年の好走馬はすべてオークスで3番人気以内かつ3着以内。この「オークス3番人気以内3着以内」は過去10年でも【5.4.0.1】で、連対を外したのは10年4着のアパパネしかいない。

 ただ、オークス4番人気以下や4着以下の馬も6〜10年前には5頭好走しており、もしこのタイプを買うなら、オークスでは6番人気以下、そして今回も4番人気以下の馬。加えて、オープン・重賞優勝実績(5頭中4頭)か、G1で2着(1頭)の実績を持つことが条件だ。

前走重賞(オークス以外)からの好走馬

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 前走でオークス以外の重賞に出走していた好走馬は4頭のみである。このうち、ダイワスカーレットとレジネッタは桜花賞馬。ムードインディゴは阪神でオープンの忘れな草賞勝ちがあり、昨年のクロコスミアは1800mで牡馬相手に札幌2歳S3着(ほかにアルテミスS3着)。単に重賞に出走していただけでは通用せず、阪神や、同距離となる芝1800mで一定の実績は必要だ。

前走条件戦からの好走馬

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 そして近年好走馬を多く出しているのが、前走条件戦(未勝利戦含む)組である。該当馬11頭のうち8頭は近5年、つまりここ5年の3着以内馬15頭中8頭と半数以上がこの組だ。好走馬11頭中7頭は前走1着馬。そして11頭中9頭は前走1〜2番人気で、特に前走で敗れていた4頭のうち3頭は前走1番人気だった。

 また、前走こそ条件戦でも、重賞でひと桁着順の実績くらいは持つことが望ましい(11頭中6頭)。その他の5頭中4頭は、2戦以上の連続連対中と好調でここに駒を進めていた。

結論

 前走オークス組が10年で8勝を挙げるローズS。ただ、近年の連対馬は1〜2番人気か7番人気以下に偏っているほか、条件戦組の好走も増えており、穴馬への警戒が怠れないレースだ。オークス組なら、近5年は3番人気以内かつ3着以内。条件戦組なら、1〜2番人気で勝ってきているのが理想だ。また、3〜6枠を引いた穴馬の好走はあまり期待できないため、枠順にも注目したい。

 今年は、オークスを1番人気で制したソウルスターリングが不在、そしてアドマイヤミヤビは残念ながら回避し、オークス組近年の好走条件である「3番人気以内かつ3着以内」を満たす馬はいなくなった。そこで、近年の好走が多い条件戦組(表6)に注目すると、重賞でひと桁着順(チューリップ賞4着)があり、1番人気で連勝してきているミリッサが筆頭格。ただ、7番人気以下(表1本文)になるかは微妙だろうか。ほかに、前走1着でファルコンS8着のあるメイショウオワラ、そして本稿執筆段階では抽選対象のメイズオブオナーも連続連対(連勝)中のため、このあたりにも一発の期待はかけられる。人気次第で柔軟に対応したい。

 一方、オークス組では「3番人気3着以内」を満たせない場合は、6〜10年前の好走例にはなるものの、オークスが6番人気以下・馬券圏外で、今回も上位人気(3番人気以内)にはならない馬。さらに、オープン・重賞優勝かG1で2着の実績が必要だ(表4)。今年のメンバーでは、忘れな草賞を勝ったハローユニコーンや、スイートピーS勝ちのブラックスビーチが、オークス組の中ではおもしろい存在になる。

 判断が難しいのは、皐月賞7着以来となるファンディーナだ。前々走で同距離・1800mのフラワーCを制し表5の条件はクリア。ただ、前走がオークス以外のG1だった馬は【1.0.0.7】で、桜花賞馬・ダイワスカーレット以外は馬券圏外だった。ちなみに、牡馬クラシックに出走した牝馬の次走を調べると【0.1.1.5】(92年ダンスダンスダンス以降、うち着外2頭は長期休養明け)。14年の本競走では、ダービー12着以来のレッドリヴェールが1番人気で6着に敗退した。「消し」ではないが(特に2番人気以内に推された場合・表1)、積極的に「買い」とまでは言えないところだ。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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