“堀カラー”でもぎ取った、浦和のACL4強 巧みな川崎攻略法で実現した逆転劇
狙いどおりだった浦和のシステム変更
堀監督(中央)はシステムやポジションを変えながら、巧みに川崎の守備ブロックを攻略 【(C)J.LEAGUE】
1−1で迎えた63分、センターバック(CB)のマウリシオに代えて高さのあるFWズラタンを投入し、アンカーを務めていた青木拓矢をCBに下げて4−2−4に変更。前線に右からラファエル・シルバ、ズラタン、興梠、高木俊幸と並べてサイド攻撃を強めていく。その狙いについて堀孝史監督が言う。
「ラファエルと高木のところでサイドに起点を作り、外からの攻撃を目指すなかでズラタンを入れた」
その直前、アウト・オブ・プレーになった際にベンチから矢島慎也に変更の内容が書かれたメモが渡され、ピッチ内に混乱なく伝達されたのも見逃せない。
ハーフスペースを攻略して決勝点を挙げた高木(右)。堀監督の狙いどおりの形だった 【赤坂直人/スポーツナビ】
柏木のパスからR・シルバが決めた84分のゴールも、森脇のパスから高木が決めた86分のゴールも、いずれも中央とサイドの間のスペース――いわゆるハーフスペースを攻略したことで生まれたが、「サイドの攻撃を強めるために駒井を入れて、中の人数も増やして攻めていった」という堀監督の言葉を聞けば、狙いどおりだったことがうかがえる。
浦和は4−1で第2戦を制し、2試合合計5−4で4強入りを果たした。
準決勝で上海上港と決着をつける
「日本を代表して戦っていきたい」という西川周作。準決勝の相手はここまで1勝1敗の上海上港だ 【赤坂直人/スポーツナビ】
2試合合計スコアによって勝敗が決まり、アウェーゴール数が大きくモノを言うトーナメント戦特有の舞台装置に加え、リードしている川崎に退場者が生まれるというアクシデントが、選手たちの心理面、両監督の采配に大きく影響を与えて、想像のつかなかったエンディングを導いた。
浦和の準決勝の相手は、グループステージでも対戦し、1勝1敗だった中国の上海上港だ。決着をつけるには最高の舞台が用意された。「自分たちはもう、勝ち上がっていくしかない。日本を代表して戦っていきたい」という西川周作の言葉は、浦和の共通する思いに違いない。