【UFC】日本のMMAと次世代ファイターたちのために戦う決意を明かす朝倉海

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現地12月7日(土)【日本時間12月8日(日)】、UFC 310でフライ級タイトルを懸けてアレシャンドレ・パントージャに挑戦する朝倉海は、UFCのベルトを懸けて戦う7人目の日本人ファイターとなる。

マーシャルアーツとスポーツの形成的発展に計り知れないほど深いルーツを持つ日本人ファイターたちだが、総合格闘技における最大のプロモーションで頂点に立つということに関してはまだ成功していない。

その偉業達成を含め、数々の変化を起こすためにやってくる朝倉は、T-Mobileアリーナで開催するUFC 310のメインイベントでパントージャと対戦するのに先立ち、次のように語り始めた。

「今まで、日本から来た多くのファイターがUFCで戦ってタイトルを取ろうとしてきましたが、誰ひとりとして成功していません。格闘技ファンの間には、日本人ファイターというのはそれほど強くないという印象が広がっているように感じます。なので、僕のゴールはそこへ行って、日本人のファイターたちが世界のベストファイターたちと互角に渡り合えるというのを証明することなんです」

初めてのオクタゴン入場を控えた朝倉は、自身を戦いに駆り立てる思いについて「日本でもう一度、MMA人気を盛り上げたいと思っていて、僕の友人、チームメイトや他のファイターたちが日本で生計を立てられるような場所を作りたいんです。誰かがもう一度、日本でMMAを盛り上げなきゃいけないと感じていて、自分が日本人としてMMA人気を復活させられる世代の1人であることをすごく誇りに思います」と説明する。

朝倉は12月8日(日)に初めてUFCオクタゴンに足を踏み入れることになるが、MMA最高峰の団体と契約するまでのキャリアに目を向ければ、挑戦者である31歳の朝倉が間違いなく世界有数の優れたファイターだということは誰の目にも明らかだ。
プロデビューは21歳の誕生日を迎える約1カ月前の2012年で、2015年からはコンスタントに試合をするようになる。未来のUFCコンペティターとなるアラテン・ヘイリ戦の勝利を含めて8勝1敗をマークし、日本のプロモーションであるRIZIN FIGHTING FEDERATION(ライジンファイティングフェデレーション)と契約。2017年末にRIZINデビューした。

RIZINでのデビュー戦でテクニカルノックアウト勝ちを飾り、2戦目でマネル・ケイプに判定勝ちすると、後にROAD TO UFCで人気となるトップノイ・キウラムやムン・ジェフンを相手に勝利を重ねていく。そして、2019年の夏には堀口恭司に68秒でのノックアウト勝ちを決めて国際シーンでも注目されるようになる。

アメリカン・トップ・チームに所属する堀口は、直近でUFC王座に挑戦した日本人ファイターであり、UFCでの最後の3試合を含めて、その当時13連勝中だった。RIZINと契約した堀口は、2017年にRIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIXバンタム級トーナメントで優勝。その後、ダリオン・コールドウェルとのタイトルマッチで勝利して、RIZINとBellator(ベラトール)両方のバンタム級タイトルを獲得している。

キャリアを変えた勝利について、朝倉は「誰もが堀口選手の勝利を予想していました」と笑顔で話した。

「堀口選手と戦うことになった経緯は、今回、パントージャと試合をすることになった理由とよく似ています。僕は当時4連勝中で、堀口選手はRIZINのトップファイターを全員倒してしまっていたので、戦う相手がもう残っていなかったんです。それで、ニューフェイスだった僕がチャンピオン戦で組まれることになりました。この試合をすることになった状況とよく似ていますよね」

結果は朝倉の大勝利だった。彼は2024年最後のペイ・パー・ビューイベントでもパントージャを相手に同じことをやってのけようと考えている。一方で、来たばかりの新人が、UFCでの初めての試合でタイトル戦に臨むことの是非を問う声も一部には存在する。

「僕は試合をして自分の実力を見せるつもりです。そういうのは、試合が終わってからもう一度、言ってみてほしいですね」と、初戦でのタイトルマッチについて懐疑的な見解があることを問われた朝倉は不敵な笑みで答えた。

「僕のゴールはUFCチャンピオンになること。だから、パントージャとの試合をオファーされた時は、自分のゴールにたどり着くための最初の1歩になるので、断る理由はありませんでした。それに、僕は自分自身を信じている。この試合に勝てるという確信があるから、ためらう理由はありませんでした」

「この試合をするチャンスと機会を与えてくれたUFCとUFCファンの皆さんには、ありがとうと言いたいです。同時に、これは日本のファンの皆さんのおかげでもあると思っています。みんなのサポートと、僕のファイティングスキルを認めてくれた人々がいたおかげでこの機会が得られたわけですから、感謝しています」

スキルや経歴に関係なく、どんなアスリートでもオープニングラウンドで相手をノックアウトすると豪語するのは当然のことだが、デビュー戦で派手なパフォーマンスとスリリングなフィニッシュを狙うという朝倉の発言は、ファイターによくある口先だけのものではない。

朝倉はこれまで21勝4敗の戦歴を誇り、16回の勝利でフィニッシュを決めている。そのうちの13回を打撃で決めており、多才な武器と本物の1撃のパワーがフライ級での活躍を期待させる。

朝倉は本気でUFC 310でフライ級タイトルを奪い取ろうとしている。

【UFC】

今年前半にスティーブ・エルセグを相手にユナニマス判定勝ちして2度目のタイトル防衛に成功したブラジル人王者のパントージャに対する朝倉の評価は次のようなものだ。

「パントージャはすべてにおいてすごいですけど、特別と言えるものがない。1つのエリアで誰よりも優れているという独自のスキルがないんです。彼が誰よりも強いのはハートですね。その素晴らしいハートが、彼を偉大なチャンピオンにしているんです」

「でも、どの部分についても僕にとっては何の問題もありません。特にこれといって対処に困るような相手だとは思いません」

「僕がパントージャに対して持っているアドバンテージは1発のノックアウトパワー。1発あれば十分です。試合は1発で終わるでしょう」

そして朝倉は笑顔でこう続けた。

「UFCの歴史で、有名なノックアウトシーンがたくさんあるのは知っています。UFC 310で、そうしたハイライトリールに僕のフィニッシュも追加できるといいですね」

もしそうなったら、強気な新人は自分のゴールを達成し、UFCタイトルを取った初めての日本人ファイターとして歴史に名を記すだけでなく、より大きく、長期的な夢を実現するための道を進み始めるかもしれない。

「総合格闘技というのは人々に多種多様な感情をかき立てるものだと思います。僕は、次の世代の日本人アスリートたちが世界チャンピオンを目指すきっかけを作りたいと思っているんです。彼らが僕に続いて、国際レベルで活躍したいと思ってもらえたらうれしいです」
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