【KAIENTAI-DOJO】TAKA、記念試合飾れずも生涯現役宣言 後輩オカダも“上から目線”で祝福

高木裕美

みのる、盟友・高山の支援に涙もリングでは怖さ見せる

盟友・高山の会見では涙を見せたみのるだったが、リング上ではいつもと変わらぬ“怖い”姿を見せた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、現在TAKAが所属する鈴木軍大将の鈴木みのるが若手のGO浅川と一騎打ち。現在、新日本ではNEVER無差別級王者に君臨するみのるが、期待の若手に圧倒的な強さとすごみを見せつけた。

 浅川は15年9月にデビュー。クラブミュージックを愛する「パーティーピーポー」でありながら、柔道をバックボーンに持ち、今年5月に若手の登竜門「K−METAL LEAGUE2017」で優勝。8月には「海王トーナメント2017」も制し、今、もっとも勢いのある若手だ。

 だが、みのるは開始早々、サブミッションを仕掛けると、さらにロープを利用したぶら下がり式腕十字固め。場外でもパイプイスで殴打し、リングに戻してサッカーボールキック、張り手。浅川もボディーへのパンチ、エルボーでダウンを奪い、払い腰、一本背負いを繰り出すが、みのるはワキ固めからアームロックで締め上げると、一本足式のエルボー。浅川も張り手連打で意地を見せるが、みのるが倍返しで張り返すと、髪をつかんで起き上がらせ、ゴッチ式パイルドライバーで仕留めた。

 みのるは試合後もセコンドの梶トマトをにらみつけると、ノーコメントで控室に直行。あくまでも怖い鈴木みのるを貫いたが、この試合の数時間前には記者会見に出席し、頸髄(けいずい)完全損傷で入院中のかつての盟友・高山善廣のための支援を涙まじりに要請。「高山善廣に勇気をたくさんもらったと思うので、ぜひ皆さん、力を貸してください」と、ファンやUWF時代の先輩であった前田日明、師匠の高田延彦に呼びかけるなど、男気あふれる一面も見せており、傍若無人なヒールでありながらも、観客からは支持する声が送られていた。

サスケ&デルフィン&東郷の貴重なトリオが実現

それぞれが因縁深い(左から)デルフィン、サスケ、東郷の3人がトリオでリングへ。昔からのファンはそれだけで歓声を上げた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第3試合では、「みちのくレジェンドスペシャル6人タッグマッチ」として、ザ・グレート・サスケ&スペル・デルフィン&ディック東郷が初めてトリオを結成。吉野コータロー&ダイナソー拓真&リッキー・フジ組と対戦した。

 サスケとデルフィンといえば、過去にみちのくの団体の運営をめぐって対立し、サスケがデルフィンのプライベートまで暴露した結果、99年にデルフィンがみちのくを離脱して新たに大阪プロレスを設立した因縁の仲。一方、デルフィンと東郷も、93年にマスカラ・コントラ・マスカラ戦で争い、敗れたマスクマンSATOが素顔をさらし東郷となったほか、95年には失意のデルフィンが東郷の股をくぐった伝説の「股くぐり事件」も発生。大阪プロレス時代も、デルフィンと方向性を違えた東郷が選手を引き連れて離脱した経緯があり、遺恨は深い。

 また、サスケと東郷は、04年にみちのくとファーイーストコネクション(FEC)で対立関係にあった時期もあったが、05年7月には2人で第4代東北タッグ王座を獲得している。

 93年のみちのく旗揚げ当初から歴史を知るファンにとっては、この3人が同じコーナーに並び立つことは感慨深く、サスケのテーマ曲で3人が登場してくるだけで客席は大興奮。サスケとデルフィンがタッチをかわすシーンでは、わずかながらもどよめきが起きた。

「ムーの太陽」スタイルで我が道を貫くサスケに対し、東郷とデルフィンは吉野に合体ショルダーを繰り出すと、すかさず東郷が場外へトペ。デルフィンが大阪臨海アッパー、スイングDDTで続くと、東郷が拓真をクロスフェースで捕獲し、デルフィンも吉野をデルフィンクラッチでとらえるも、サスケがフジを取り逃がし、そろい踏みならず。逆に拓真と吉野がデルフィンを合体ショルダー、合体バスターでたたきつけ、レジェンドトリオを粉砕した。

「自分の記憶が正しければ、この3人で組むのは初めて。貴重なトリオを組んでくれたTAKAに感謝する」と話す東郷に対し、デルフィンもTAKA本人とKAIENTAI-DOJOのさらなる発展を願うも、サスケは「神のご加護を」と、あくまでもマイペース。それでも、コメント後には3人並んでの記念撮影に素直に応じるなど、TAKAを含めた4人のユニバーサル時代からの絆の深さと、それぞれが歩んできた時間の長さ、仲間割れと再会を繰り返しながらさまざまな人間模様を織り成すプロレス界の歴史を実感させた一戦だった。

SKE48の松井珠理奈さんより花束を贈呈されたTAKA 【写真:SHUHEI YOKOTA】

■KAIENTA-DOJO「TAKAみちのく25周年記念大会 〜SIMPLE IS BEST〜」
9月4日(月)東京・後楽園ホール 観衆:1616人(超満員札止め)


<メインイベント TAKAみちのく25周年記念スペシャルタッグマッチ>
●TAKAみちのく、飯伏幸太
(16分45秒 外道クラッチ)
オカダ・カズチカ、○外道

<セミファイナル スペシャルシングルマッチ>
●GO浅川
(12分8秒 ゴッチ式パイルドライバー→体固め)
○鈴木みのる

<第4試合 KAIENTAI DOJO ザ・ベスト 8人タッグマッチ>
○梶トマト、滝澤大志、旭志織、遊馬
(8分30秒 レッドアイ)
タンク永井、●本田アユム、十嶋くにお、最上九

<第3試合 みちのくレジェンドスペシャル6人タッグマッチ>
○吉野コータロー、ダイナソー拓真、リッキー・フジ
(7分24秒 ガオバババ→片エビ固め)
ザ・グレート・サスケ、●スペル・デルフィン、ディック東郷

<第2試合 女子スペシャルタッグマッチ>
バンビ、●ERINA
(8分2秒 ムーンサルトプレス→エビ固め)
○紫雷イオ、HZK

<第1試合 KAIENTAI DOJO一期生スペシャルタッグマッチ>
●柏大五郎、MIYAWAKI
(7分16秒 逆さ押さえ込み)
Hi69、○ヤス・ウラノ

<第0試合 タッグマッチ>
○洞口義浩、マリーンズマスク
(3分33秒 ジャーマンスープレックスホールド)
●テイラー・アダムス、ディッキー・メイヤー

2/2ページ

著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント