【DDT】20周年目の両国は竹下がV7で飾る ディーノがDDT新プロデューサー就任

高木裕美

20周年を迎えたDDTの記念すべき両国大会で、メインを飾った22歳のKO−D王者・竹下幸之介 【写真:前島康人】

 DDTプロレスリングが20日、東京・両国国技館にて「両国ピーターパン2017〜ピーターパン 二十歳になっても ピーターパン〜」を開催。超満員となる5900人が、合計6時間超の大ボリューム興行を堪能した。

 DDTは97年5月14日に東京・北沢タウンホールで旗揚げされ、今年で20周年。09年以来、夏の両国大会が毎年恒例(12年のみ日本武道館)となっており、今年6月1日には、5年前の公約通りに東京ドームにも初進出。高木三四郎vs.鈴木みのるによる「東京ドーム全域を使ったノーピープル路上プロレス」を開催するなど、人間であれば成人を迎える年月を経ても、「大人になれない、大人げないプロレス」を提供し続けている。

ディーノがリング上の全権奪取 「攻め」のDDTへ!

最後はゴッチ式男色ドライバーで高木を粉砕したディーノ 【写真:前島康人】

 DDTの最大の魅力は、固定概念を破るチャレンジ精神と、枠にとらわれない革新的なアイデア。旗揚げ当初の“どインディー”時代から、いまや大所帯となったDDTブランドを支えてきたのが「大社長」高木三四郎だったが、この日の第6試合で行われた「DDT20周年記念ウェポンランブル〜全権・コントラ・結婚〜」で高木が男色ディーノに敗れ、リング上の全権をディーノに移譲。新プロデューサーに就任したディーノは、「何が起きてもおかしくない、攻めのDDT」としていくことを訴え、さっそく今大会からアクションを起こし始めた。

鶴見亜門GM(中央)もいきなりのクビ! 大ナタを振るったディーノの周囲で何が起こるか 【写真:前島康人】

 ウェポンランブルでは、ケンドー・カシンvs.百田光雄一家の抗争も飛び火する中、広島から来た実母・八重子さんのリップロックに耐えたディーノが、逆に高木の嫁・加代子さんを呼び込み、加代子さんのムーンサルトプレスからのディーノのゴッチ式男色ドライバーで高木を粉砕。「人生を賭けた大一番に勝った」ディーノは、「DDT、守りに入ってるんじゃねえよ。私がプロデューサーになったからには、DDTは攻め一辺倒! 攻める姿勢を取りながら、私が舵をとる」と宣言してみせると、これまでGMとして進行を仕切ってきた鶴見亜門GMに「YOU ARE FIRE!」とあっさりクビを宣告するなど、いきなり大ナタを振るった。

 これまでは「DDTのアイコン(象徴)」として、ゲイレスラーというキャラクターがファンに愛されてきたディーノだが、フロントという立場になったことで、今後は嫌われ役となることも想定される。クビに納得のいかない亜門元GMも必死に抵抗していることから、今後もディーノの周囲に様々な波風が立ちそうだ。

竹下がV7成功 大家、佐々木が次期挑戦者に

王者・竹下幸之介が同世代の遠藤哲哉を下しKO−D無差別級7度目の防衛に成功 【写真:前島康人】

 メインイベントのKO−D無差別級選手権試合では、22歳の王者・竹下幸之介が同世代の遠藤哲哉を下し7度目の防衛に成功。9.24後楽園ホール大会では、インディペンデントジュニア王者の大家健、DDT EXTREME級王者の佐々木大輔と、それぞれの持つベルトを賭けて3人で戦うことになった。

 幼少時から大のプロレスファンであった竹下は、12年の武道館大会で17歳の現役高校生としてレスラーデビュー。昨年5月には史上最年少となる21歳でKO−D王座を戴冠し、「THE FUTURE」の名前通りに、DDTの未来を象徴する存在だ。14年9.28後楽園大会では、飯伏幸太&ケニー・オメガの「ゴールデン☆ラヴァーズ」からKO−Dタッグ王座を奪取。その時のタッグパートナーが遠藤であった。

30分近い熱戦となったが、最後はクロスアーム式ジャーマンで仕留めた 【写真:前島康人】

 今年の4.29後楽園では60分時間切れ引き分けとなった相手を再び迎え撃つにあたり、竹下は4つのスポーツジムを掛け持ちして大胆に肉体を改造。自身が所属する日本体育大の名物である「エッサッサ」に見送られ、豹柄の新コスチュームで登場した。遠藤は花道でのツームストンパイルドライバー、哲哉インザスカイ、シューティングスタープレス、トーチャーラックボムと、自身の持てる技を駆使するも、カウント3ならず。この猛攻をしのいだ竹下が、雪崩式ジャーマンスープレックス、ラリアット、ヒザ蹴りからのクロスアーム式ジャーマンで勝利した。

試合後は佐々木大輔、大家健の両王者が、竹下のベルトを狙いリングへ 【写真:前島康人】

 V7という大記録にも「僕は負けません。負けたくないし、負けられないし、勝ち続ける運命にいると思ってます」と言い切った竹下は、ディーノ新プロデューサーが指名した防衛戦にも「誰が相手でもぶっ倒す」と動じず。デビューした17歳の夏から5年で、両国のメインを締める存在となった自分の強さを確信した。

 3月の王座戴冠以来、先輩、同世代、イキのいい後輩などをことごとく撃破してきた竹下。今後は「誰が竹下にSTOPをかけるのか」プラス「ディーノがどんな手法で竹下を王座から引きずり下ろすのか」も注目されそうだ。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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