将来への期待とプロでの活躍は直結せず!? 「高校ビッグ3」と呼ばれた男たちの今

ベースボール・タイムズ

過去の事例を振り返ると……

高校通算87本塁打の実績を引っさげプロ入りを果たした日本ハム・中田。打点王は2度獲得するも、本塁打王の経験はなし 【写真は共同】

 現状、明暗分かれている「ビッグ4」。高校時代の評価、将来への期待度が、そのままプロの舞台での活躍に直結する訳ではないことは、過去の事例を見てもよく分かる。

「高校ビッグ3」で真っ先に思い出されるのが、2007年の中田翔(大阪桐蔭高→北海道日本ハム)、佐藤由規(仙台育英高→ヤクルト)、唐川侑己(成田高→千葉ロッテ)の3人だろう。高校通算87本塁打の中田、甲子園最速155キロの佐藤、高い完成度を誇った唐川とそれぞれが大きな期待を背負ったが、由規が右肩の故障・手術で4年間1軍未登板となり、唐川もプロ9年間で2ケタ勝利は1度のみ。中田は2度の打点王に輝くも、期待された本塁打王はまだ獲得していない。

 その3年前の04年には、ダルビッシュ有(東北高→日本ハム)、涌井秀章(横浜高→西武)、佐藤剛士(秋田商高→広島)の3人が「高校ビッグ3」と呼ばれた。ダルビッシュ、涌井の2人が1軍の舞台、さらにはメジャーで輝く一方で、佐藤は肩、腰さらに右肘にメスを入れるなど故障が重なって伸び悩み、1軍登板はわずか1試合のみ。10年限りで現役引退となった。

 最も記憶に新しいところでは12年の「高校ビッグ3」、大谷翔平(花巻東高→日本ハム)、藤浪晋太郎(大阪桐蔭高→阪神)、濱田達郎(愛工大名電高→中日)が挙げられる。大谷、藤浪の2人は説明不要。今季は大谷が故障、藤浪は制球難で苦しんでいるが、球界の宝であることに変わりはない。濱田は2年目の14年にプロ初完封を含む5勝を挙げたが、以降は不振と故障で成績を落とし育成落ち。昨年、そして今年と2度にわたって左肘尺骨神経剥離術の手術を受けた。現状、1軍での“3人そろい踏み”への道のりは険しい。

今年は清宮、安田に中村が加わる?

今夏の甲子園で大ブレークを果たした広陵高・中村。「打てる捕手」として価値が高まっている 【写真は共同】

 少し昔にさかのぼると、1995年には斉藤和巳(南京都高→福岡ダイエー・ソフトバンク)、長谷川昌幸(市銚子高→広島)、星野智樹(四日市工高→プリンスホテル→西武)が「高校ビッグ3」と呼ばれた。

 その他、名称こそ違うが、97年には川口知哉(平安高→オリックス)、井川慶(水戸商高→阪神)、能見篤史(鳥取城北高→大阪ガス→阪神)の3人が「高校生左腕三羽ガラス」の異名をとり、05年には辻内崇伸(大阪桐蔭高→巨人)、平田良介(大阪桐蔭高→中日)、岡田貴弘(履正社高→オリックス)、鶴直人(近大付高→阪神)の4人が「浪速の四天王」と呼ばれて大きな注目を集めた。もちろんタイトルを獲った選手もいるが、一方で看板倒れのまま引退を強いられた選手も多い。

 翻って今年の夏、清宮幸太郎(早稲田実)、安田尚憲(履正社高)の目玉2人は聖地到達を前に姿を消したが、強肩強打の捕手として注目を集めていた中村奨成(広陵高)が甲子園で大活躍。ドラフト1位候補として、評価を不動のものにしている。

 残りは準決勝2試合と決勝戦のみ。その中から、また新たなスターが誕生するのか。ひとつ言えることは、彼らの野球人生には、まだまだ先があるということ。その未来は、まだ白紙であるということだろう。

(三和直樹/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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