侍J大学代表、長い強化期間で新星登場 ユニバで2大会連続の金メダルを目指す

高木遊

突出した選手はいないが粒ぞろい

 また、この2人だけではない個性豊かな選手たちも脇を固める。投手陣で重宝されそうなのが、阪本大樹(関西大)だ。169センチと小柄な右腕で、既に社会人入りが決まっており、これまで注目を集めることは少なかった。

 だが選考合宿から自ら武器と話す「相手に向かって行く投球」でアピール。相手打者のインコースを果敢につき外角でかわす、ゾーンを広く使った投球と鋭いタテの変化球で首脳陣の信頼をつかんだ。日米大学野球では中継ぎとして3試合8イニングに登板し無失点に抑えた。善波監督は「ユニバーシアードでも厳しい場面で行ってもらうつもり」と全幅の信頼を置いている。
 また、野手陣も三拍子すべてで突出した選手はいないものの、4年生では高い守備力が光る捕手の小畑尋規(立正大)や内野手の宮本丈(奈良学園大)、長打力が魅力の岩見雅紀(慶応義塾大)、俊足が光る島田海吏(上武大)。3年生では高い打撃センスが光る辰巳涼介(立命館大)と中川圭太(東洋大)、島田に負けず劣らずの走力がある長沢吉貴(日本大)とタレント豊富だ。これに「相手の力を見極め、選手たちの力を信じて強気に前向きに采配を執りたい」と話す善波監督の手腕が加われば、大きな化学反応を起こせる力を持っている。

開催国・台湾はプロ選手も招集

 侍ジャパン大学代表は1次ラウンドでロシア(20日)、メキシコ(22日)、アメリカ(23日)と戦う。ロシア、メキシコ、アイオワ大の単独チームで編成されるアメリカの実力は未知数だが、力を発揮できれば台湾と韓国の進出が予想されるスーパーラウンド(25日、26日)進出は確実だろう。そして準決勝(28日)、決勝(29日)と金メダルへの道を進んでいきたい。
※カッコ内は試合開催予定日

 開催国で前回金メダルを分け合った台湾は、前回と同じく元阪神の郭李建夫監督が率いて強化に時間をかけてきた。また、大会ルールでは前年に卒業した者も出場可能なため、現在は台湾プロ野球・統一で4番を打つ蘇智傑も招集し、金メダル獲得に心血を注いでいる(また兵役免除の対象大会でもある)。こうした強国との対戦や選手村で暮らす環境の国際競技大会で、若き侍ジャパン戦士がどのような活躍を遂げるのか楽しみだ。

2/2ページ

著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント