史上初の「兄妹で一緒に」ダーツ世界大会出場を目指して。 JAPAN LADIES首位をひた走る、ユース出身・林桃加プロのマインドセット

SOFT DARTS PROFESSIONAL TOUR JAPAN
チーム・協会

【©一般社団法人J.D.U All Rights Reserverd.】

プロダーツJAPAN 2024で、ひときわ活躍が輝かしい選手がいる。JAPAN LADIESで現在年間ランキング1位をひた走る林桃加プロだ。

近々の試合結果だけを見ても、勢いが手に取るようにわかる。第11戦から14戦まで怒涛の4連勝。それまでの貯金も相まって、第12戦でついに順位が変動。年間1位に躍り出てからは、これまで以上に無類の強さをみせつけている。

ダーツファンの間では、兄・林雄太プロと共に「ユース出身のプロダーツ兄妹」としてかねてから知名度が高かった林桃加プロ。そもそも、ダーツとの出会いはどんなものだったのか。

8歳の時には、いまの投げ方を見つけていた

-ダーツを始めたきっかけについて改めてお訊きしたいです。
父がダーツバーをやっていて、父の影響で8歳から始めました。ダーツ、最初はまったく興味がなかったんですよ(笑)。兄のほうが先にハマってましたね、私はそれについていく感じで。父に「カウントアップで500点超えたら500円あげるよ」って言われて、最初はお小遣いとかご褒美を目当てにやっていました。

-その時の印象的だったこと、何かあるでしょうか?
父に「お前は絶対才能あるからダーツ続けろ!」ってしきりに言われたことですかね(笑)。実は、8歳で投げ始めた頃からあんまりフォーム(投げ方)は変わってないんです。お店に来るお客さんとか、うまい人が投げているところをみて「こんな感じかなぁ」って放ってみたのが、ほぼ今のフォームと同じで。昔もっと身長小さかったので肘の位置は変わったくらいで。

「調子が良い時」のことをちゃんと覚えておく

幼少期からずっとダーツにふれてきた林プロ。長くダーツと向き合っているからこそ、自分の調子との向き合い方が冷静で合理的だ。

-普段の練習では、どんなことを意識されていますか?
「上達のため」に何時間も投げ込む、みたいなことはあんまりしないんです。お店(※)に来るお客さんと一緒にダーツを投げるのが練習も兼ねてる感じです。

※林プロのお父さんが経営されていたダーツバーは、現在は兄の雄太プロがオーナー、桃加プロがマネージャーを担当しています。

-対戦がそのまま練習になっているんですね。
そうですね。ただ「なんか変だな」「入るイメージが湧かないな」と思ったら、一人で黙々と投げ込みます。そのとき「何がいけないんだろう」って調子が悪い理由を考えるより、「調子が良い時の感覚」を思い出すようにしています。「調子が良い時の感覚」ってどんなものかわかってると、入ってないときに何ができていないのか、どうすればその差を埋められるのか意識できるんです。そこを考えながら投げ込みをすると、割とサクッと調子を戻すことができますね。

今の自分ならいける、という気持ち

ついに年間1位となり、これまで以上に注目される存在となった林プロ。プレッシャーとの向き合い方についても訊いてみた。

-緊張はするタイプですか?
めっちゃ緊張します。試合とか、一週間前からおなか痛くなります(笑)。

-意外でした。決勝戦の様子などを見ても、あまり緊張されているように見えていなかったので。
最近は、そういう時はもうあえて隠さないようにしてますね。周りのみんなに「緊張する~!」って言っちゃう。それと、その場その場を楽しむようにしてます!

-昨シーズンから、どんどん決勝の舞台に上がる機会も増えてきたと思います。そのあたりのマインドも、変化したのでしょうか。
そうですね。前は一試合一試合緊張して、「今日勝たないといけない!」って気負ってたんです。だからこそ負けたときに「普段通りやれば勝てるのに」ってすごいメンタルが落ちて考えこんじゃって…。でも、入れ替え戦までちょくちょく行けるようになってからは、年間成績で見られるようになったんですね。試合で負けてあとも、次の試合で勝って何点とれば取り返せるみたいに、先のことを前向きに考えられるようになりました。

-ランキングが上がったことで、余裕がでてきた部分はありますかね。
ありますね。ダーツの調子もいいし、今の自分なら平場からでもいけるんじゃないかって気持ちでいます。メディアに取り上げてもらったり、応援してくれる方が増えたり、声かけてもらえる機会も力になってます。応援の声は自信になりますね!

史上初・兄妹での「SUPER DARTS」出場を目指して

兄・林雄太プロは、今年8月に開催された「SUPER DARTS 2025 QUALIFIER TOKYO MEN'S DIVISION」にて優勝。来年秋開催予定のダーツ世界大会「SUPER DARTS 2025」への出場権を手にしています。

-JAPAN LADIES年間優勝者は「SUPER DARTS 2025」への出場権が与えられます。JAPAN第14戦では、壇上での挨拶で意気込みも飛び出しましたね。
やっぱり意識はしてます。周りにもすごく言われるので(笑)。正直な話、この先雄太がSUPER DARTSに出場できる機会があるかわからないじゃないですか。SUPER DARTSに出られる選手っていうのは、もうトップ中のトップだって認識です。だからこそ、雄太が出場権をつかみ取ったタイミングでね、私も今いいとこにいるので。それは行くしかないですよね。2人で揃って、一緒に出られる大会っていうとやっぱり「SUPER DARTS」しかないので。

【© DARTSLIVE Co., Ltd.】

-林雄太プロが出場権を掴んだ瞬間、お二人が抱き合って喜んでいる場面がとても印象的でした。お兄さんの試合を観戦しながら、どんなお気持ちでしたか?
雄太はダーツがもう、本当にすごい好きで。JAPANで決勝に行ったのは雄太が先だったけど、優勝したのは私のほうが早かったんです。私が初めて優勝したとき、雄太も嬉しかったと思うけど…やっぱ妹に先に行かれたっていうのは、めっちゃ悔しかったと思うし、周りのダーツプロの方も結構心配してくださってたんですよ。雄太がイップスになっちゃうんじゃないかって。そういうのも全部近くで見てたし、どこいっても「ももちゃんのお兄ちゃん」みたいな感じで。だから出場権がかかった決勝を見ながら、なんというか…「もう早く勝ってくれ」と思ってました(笑)。

-もう勝ってくれ、ですか(笑)。
(雄太プロが)「海外の試合も行きたい」って言うんですよ。海外のスティールの大会も頑張ってて。もうどこ行きたい? なにしたい? やりたいこと全部しておいで! って思いながら一緒にいたので、私としてはもう「何してもいいから早く勝って!?」って思ってました。

-振り返るとおふたりは、ともに「ここぞ」という注目される場面で勝利されている印象があります。ポイントが大幅にアップされる試合だったり、記念日なんかでも強いイメージです。
言われてみるとそうですね、お父さんの誕生日にJAPAN勝ちました(笑)。エクストラステージについては結構意識して準備してます。ダーツの投げ方が特別何か変わるわけではないんですが、気持ちの違いかな。

-ちなみに、雄太プロと喧嘩はされますか?
全然しますよ(笑)。考え方が真逆なんですよね、雄太はストイックというか真面目で。「ダーツ教えてほしい」「うまくなりたい」ってお願いされたりすると、相手にすごい感情移入しちゃうんですよ。だから教え方も熱心で、厳しい。うまくなってほしいから一生懸命になっちゃうんです。私はそれを見て、近い近い暑いみたいに思っちゃうんです。いや全然悪くはないんですけどね(笑)。

-桃加プロは、ダーツを教えるときどのようにされていますか?
私は、褒めて伸ばしますね。それいいやん! みたいに褒めて、細かくは教えない(笑)。その人の投げ方をみて、癖を見て、イメージを聞いてみたり…。練習したらだれでも幸せになれるから、まずは楽しくやってほしいなと思ってます。
JAPAN LADIES首位を好走する林桃加プロ。残り4試合の活躍にもぜひ注目を。
次回プロダーツJAPANは、12月7日(土)に第15戦・広島が開催。 会場は、広島県広島市中小企業会館です。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

「SOFT DARTS PROFESSIONAL TOUR JAPAN」はプロ登録選手が参加できる年間を通じたダーツトーナメントです。 我々は、本大会を通じ、ソフトダーツ界全体のさらなる飛躍と、「真のプロ」たる実力を持ったプレイヤーの発掘及び支援を目指して参ります。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント