“記録”だけじゃないプロレスの世界 東京03豊本のプロレスあれこれ(18)
プロレスの評価の仕方は多面的です
長州選手、藤波選手はいるだけで、存在感がもう圧倒です 【写真:SHUHEI YOKOTA】
選手のキャラクターというだけでも勝敗を飛び越えた存在価値のある選手もいます。
ゲイやら小学生やらお化けやら……。
長州力選手、藤波辰爾選手あたりだと、出てくるだけでもう価値ある域まで達しています。
ウルトラマンロビン選手に至っては、元気でさえいてくれたら僕は充分です。
普通ウルトラマンは負けたら地球が怪獣にどうかされちゃいますけど、ロビンさんは勝たなくても……こんなウルトラマンは珍しいです。
とにかくプロレスというスポーツは選手の評価の仕方が多面的なので楽しみ方もさまざま。それゆえ世代交代は簡単にはいかないですが、その分、選手が新しい価値観もどんどん生みだし、見る側に語る材料を与えてくれる不思議なスポーツなんです。
まぁ、とはいえプロレスは戦いです。
選手は勝つために戦っています。
勝つために身体を鍛え、練習に励んでいます。
選手は勝てばうれしいですし、負ければ悔しい。
天龍源一郎さんの引退試合を終えた直後、リング上で口にした言葉が「いやぁ、負けた!」でした。最後の最後まで勝とうとする姿勢、まさにミスタープロレスです。
勝ち負け最優先の大会がG1クライマックス
今年のG1も熱い戦いがたくさんありましたね! 【写真:SHUHEI YOKOTA】
そんな中、今年も行われた、新日本プロレスが開催する真夏の祭典「G1クライマックス」。
シングルで誰が1番強いのかを決める大会です。
ツイッターなどを覗いたりしてますと大会前から優勝予想で盛り上がり、大会各会場も大盛況。
その中でも優勝者決定戦の中継で、解説の蝶野正洋さんが「外国人に優勝させちゃダメですよ」とケニー・オメガ選手の相手の内藤哲也選手を応援するようなコメントに対して、ケニー選手に優勝してもらいたいと思ってるファンが蝶野選手に怒りをぶつけるツイートをしていたり。とにかく熱い。ちなみにそんな蝶野さんは“熱中症ゼロ大使”をしています。
先ほどから勝ち負けを優先していないと書いていましたが、そうではなくG1においてファンの方はちゃんと勝ち負けを優先して見ている上で楽しんでいると感じました。それほどG1はファンの中でも特別なものという感覚が生まれているんでしょう。素晴らしい。
永田選手とファレ選手の間に生まれた名場面も
永田選手は1勝8敗と苦しい結果でしたが、それでも「大ナガタコール」は健在でした! 【写真:SHUHEI YOKOTA】
しかしリーグ戦最終戦の相手がバッドラック・ファレ選手。かつて永田選手が率いていた青義軍のメンバーだったファレ選手。
今ではその時とはまるで違う状況。ファレ選手も並外れた体格を活かしたパワーファイターに成長し、新日本のヒール軍団バレットクラブのメンバー。つまり永田選手とは同じコーナーに立つことはない人間です。
しかし試合後、試合に負けた永田選手がファレ選手に対して敬礼ポーズを取ると、ファレ選手も敬礼ポーズで返す。会場は割れんばかりの大ナガタコール。
2人の関係性と歴史、そして勝負が問われる中だからこそ生まれた名場面でした。
とにかく勝って欲しいというファンの気持ちと、とにかく勝ちたい選手の気持ちが合致する戦いは良い試合になりますね。だからG1って好勝負、多いのかもしれませんね。
今年の夏も暑かったです。