躍進の日本競歩、世界陸上でメダルなるか 過去データから見るレース展望
後半にペースアップするサバイバルを勝ち抜けるか
前半より後半のペースの方が速い可能性も十分にある 【写真:ロイター/アフロ】
なお、スプリットは各地点を先頭で通過した選手のタイムから算出したもので、優勝者のスプリットとは限らない。五輪の20キロ競歩については5キロ・15キロのタイムが不明のため、5キロは4キロ&6キロ、15キロは14キロ&16キロの通過タイムから推定した。「前後半差」の「△」は、後半の方が速かったことを示す(気温・湿度が不明の個所は?と記載)。
<男子20キロ競歩>
年 スタート時 〜5キロ 〜10キロ 〜15キロ 〜20キロ(前 半+後 半/前後半差)
11年 22℃・85% 21.03. 20.55. 19.44. 19.14.(41.58.+38.58./△3.00.)
12年 ?℃・?% 20.00. 20.08. 19.38. 18.57.(40.00.+38.46./△1.14.)
13年 29℃・40% 20.17. 20.17. 20.07. 20.16.(40.34.+40.23./△0.11.)
15年 23℃・78% 20.10. 20.10. 19.33. 19.21.(40.20.+38.54./△1.26.)
16年 25℃・?% 20.14. 19.56. 19.56. 19.08.(40.10.+39.04./△1.06.)
<男子50キロ競歩>
年 スタート時 〜10キロ 〜20キロ 〜30キロ 〜40キロ 〜50キロ(前 半+後 半/前後半差)
11年 23℃・73% 44.31. 43.32. 43.30. 44.21. 45.40.(1.49.35.+1.51.49./▼2.24.)
12年 ?℃・?% 44.15. 43.29. 43.05. 43.04. 43.00.(1.49.21.+1.47.32./△1.51.)
13年 17℃・94% 44.26. 44.10. 43.41. 42.47. 42.42.(1.50.34.+1.47.22./△3.12.)
15年 22℃・78% 45.18. 44.02. 43.50. 43.47. 43.31.(1.51.13.+1.49.19./△1.54.)
16年 22℃・?% 44.28. 43.23. 43.48. 45.25. 44.02.(1.49.41.+1.51.17./▼1.36.)
<女子20キロ競歩>
年 スタート時 〜5キロ 〜10キロ 〜15キロ 〜20キロ(前 半+後 半/前後半差)
11年 22℃・88% 23.29. 22.47. 21.47. 21.39.(46.16.+43.26./△2.50.)
12年 ?℃・?% 21.18. 21.15. 21.21. 21.08.(42.33.+42.29./△0.04.)
13年 22℃・57% 23.17. 22.03. 21.13. 20.15.(45.20.+41.28./△3.52.)
15年 25℃・65% 22.24. 22.55. 22.05. 21.21.(45.19.+43.26./△1.53.)
16年 ?℃・?% 22.58. 22.26. 21.58. 21.13.(45.24.+43.11./△2.13.)
以上の通り、20キロ競歩は男女とも次第にペースが上がっていく「ビルドアップ」がほとんど。特にラスト5キロのアップが顕著で、男子は19分ちょっと、女子も21分ちょっとでカバーしている。もっと細かくみると、18キロからの残り2キロは、男子が7分30秒前後、女子も8分10秒〜20秒あたりのことが多い。
つまり、前半は「様子見」で、10キロ過ぎから振るい落としのサバイバルが始まり、15キロまで生き残った選手でメダルを目指しての「用意、ドン」である。
男子50キロ競歩は、5大会中3回が後半の方が速い。前半の方が速かった2大会は、2011年はレース後半に気温が27℃に、16年のリオ五輪も28℃まで上昇したのが影響したものと考えられる。
いずれにしても、日本人選手には「サバイバルレース」に生き残り、過去最高を上回る好成績を残してもらいたい。
※記録情報は2017年7月31日判明分
※数か月後や数年後に入賞者のドーピング違反が発覚し失格となって順位が繰り上がったケースもあるが、ここでは基本的に当初発表された記録を掲載した
(野口純正/国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)