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ヘビー級の一時代を築いたクリチコが引退
ジョシュア、ワイルダー軸の新時代突入へ
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ヘビー級の一時代を築いたウラディミール・クリチコ(ウクライナ)が引退を発表した
ヘビー級の一時代を築いたウラディミール・クリチコ(ウクライナ)が引退を発表した【Getty Images】

 プロボクシングの元WBA、IBF、WBO世界ヘビー級王者、ウラディミール・クリチコ(41=ウクライナ)が3日、引退を表明した。今年4月、アンソニー・ジョシュア(27=イギリス)の持つIBF王座に挑んでダウンの応酬の激闘を展開し、11回TKO負けを喫した試合がラスト・ファイトになった。


 クリチコの引退にともないヘビー級はIBF王座とWBAスーパー王者のジョシュア、WBC王者のデオンテイ・ワイルダー(31=米国)の2強時代に突入したと言っていいだろう。

「夢はすべて達成した」とクリチコ

兄ビタリ・クリチコの影響でボクシングを始め、頂点へと上り詰めた
兄ビタリ・クリチコの影響でボクシングを始め、頂点へと上り詰めた【(C)NAOKI FUKUDA】

 クリチコは5歳上の兄、ビタリ・クリチコ(元WBO、WBC世界ヘビー級王者、現ウクライナの首都キエフの市長)の影響を受け十代半ばでボクシングを始めた。


 アマチュアのトップとして活躍していた兄が体調を崩して96年アトランタ五輪予選出場を見送ったため、代わりにエントリー。これを勝ち抜いてクリチコは本選出場を果たし、アトランタ五輪でも快進撃を続けてスーパーヘビー級で金メダルを獲得した。20歳のときである。アマチュア戦績は140戦134勝(65KO)6敗。


 96年11月、ドイツでプロデビューし、4年後の2000年10月にWBO世界ヘビー級王座を獲得した。この王座は半年前に兄のビタリが失ったもので、弟が仇討ちを果たしたかたちになった。5連続KO防衛を果たして存在感を示したクリチコだが、6度目の防衛戦でサウスポーのコーリー・サンダース(南アフリカ)の強打を浴びて2回TKO負け。1年後の王座決定戦でもレイモン・ブリュースター(米国)に5回TKO負けを喫した。


 この挫折から立ち直り、06年4月にIBF王座を獲得し、第2次政権につく。206センチの恵まれたリーチを生かした左ジャブで相手をコントロールし、198センチ、約110キロの巨体から「ハンマー」と形容された右ストレートを打ち下ろすという勝利の方程式を確立し、その後は危なげない内容で防衛を重ねていった。


 WBO王者、WBA王者との統一戦でも勝って3団体王者になり、防衛回数は18に伸びた。相手が距離を詰めてくると巧みにクリンチで阻むことも多く、戦いぶりが「安全運転」と揶揄(やゆ)されることもあったが、群を抜く強さを誇ったのは事実だ。それは18度防衛のうち13試合をKO(TKO)で終わらせたデータでも分かるだろう。


 その一方、30代後半になると背筋や肩を痛めるなどケガも目立つようになり、たびたびブランクもつくった。5年前には兄のビタリが現役を退き、政界に進出。前後してエマヌエル・スチュワード・トレーナーが他界するなど身辺にも変化が起こり、モチベーションを保つのが難しい状況になっていった。


 そんな矢先の15年11月、タイソン・フューリー(イギリス)の変則ボクシングに足をすくわれ12回判定負け、9年半も保持した王座を奪われた。フューリーとの再戦が2度、3度と流れたためクリチコは標的をジョシュアに変え、今年4月に拳を交えた。


 この試合はヘビー級史に残るダウンの応酬の激闘になったが、クリチコは11回に2度のダウンを喫して敗れた。11月には再戦が計画されたが、クリチコは3日、「アマチュア、プロで夢に描いていたことをすべて達成した。次のキャリアに踏み出したい」と言って20年のプロ生活に区切りをつけた。戦績は69戦64勝(53KO)5敗。特筆すべきは、このうちの29戦が世界戦(25勝19KO4敗)である点だろう。

全勝の3王者が登場する「秋の陣」に要注目

クリチコとの再戦がなくなったジョシュア(左)だが、新たな強敵との防衛戦も待ち構えている
クリチコとの再戦がなくなったジョシュア(左)だが、新たな強敵との防衛戦も待ち構えている【写真:ロイター/アフロ】

 41歳のクリチコが現役を退いたことで、ヘビー級トップ戦線は一気に若返ることになる。軸になるのは12年ロンドン五輪スーパーヘビー級金メダリストでプロでは19戦全KO勝ちのジョシュアと、08年北京五輪ヘビー級銅メダリスト、38戦全勝(37KO)という驚異的なレコードを持つWBC王者のワイルダーだ。


 ジョシュアはクリチコとの再戦がなくなったが、IBFからは最上位のクブラト・プーレフ(36=ブルガリア 26戦25勝13KO1敗)との指名防衛戦を課されており、さらにWBAからは1位のルイス・オルティス(38=キューバ 29戦27勝23KO2無効試合)との対戦を迫られている。ウラディミール・クリチコに5回KO負けを喫しているプーレフはともかく、「キングコング」の異名を持つ元WBA暫定王者のサウスポー、オルティスは危険度の高い相手といえる。

ワイルダーも11月に防衛戦が予定されている
ワイルダーも11月に防衛戦が予定されている【(C)NAOKI FUKUDA】

 ワイルダーは11月に6度目の防衛戦を計画しているが、その候補としてオルティスの名前も挙がっている。このほか前王者で現WBC1位のバーメイン・スティバーン(38=ハイチ 28戦25勝21KO2敗1分)、クリチコ兄弟の元スパーリング・パートナーでもあるジャーレル・ミラー(29=米国 20戦19勝17KO1分)もV6戦の相手としてリスト・アップされている。


 WBO王者のジョセフ・パーカー(25=ニュージーランド 23戦全勝18KO)は、9月23日にイギリスでヒューイ・フューリー(22=イギリス 20戦全勝10KO)の挑戦を受ける。タイソン・フューリーのいとこでもあるフューリーは強豪との対戦経験が少なく実力は未知といえるが、地元の声援を背に一気に頂点に駆け上がる可能性もある。現時点のオッズはパーカー有利と出ているが6対5と接近している。


 19戦全KO勝ちのジョシュア、38戦全勝(37KO)のワイルダー、23戦全勝(18KO)のパーカーと、3王者はいずれも全勝で、平均年齢は27.6歳と若い。裏返せば、まだまだ伸びしろを残しているともいえる。はたして誰が最後に笑うのか、ヘビー級トップ戦線の行方に注目したい。


Written by ボクシングライター原功


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