ロンドンに根付くパラへのリスペクト 熱狂を文化に転換させる仕組みづくり
継続的に盛り上げる仕組み作り
今大会は約5000人のボランティアに支えられ運営された 【写真:吉田直人】
「ロンドンパラリンピックの方が、会場は盛り上がっていたと思います。レガシーという言葉もありますが、開催国として継続的に盛り上げていく難しさをすごく感じました。でも、マーケティングが弱いのかといえば、取り組みを見る限りそうでもない。『その時』まで頑張るんじゃなくて、継続していく仕組みを考えていかないといけないんだなと。パラスポーツのファンをもっと広げていくために、アスリートは結果を残すことが必要だと言われますが、今はそれだけではない時代にきていると感じます」
何もしなければ、ファンは離れていく。運営スタッフたちは今大会に際して、『FILL THE STADIUM(スタジアムを埋め尽くそう)』のスローガンのもと、様々なPR活動を展開してきた。
就学児童に向けたチケットのディスカウントキャンペーンは、約10万枚の申し込みを受け付けた。イングランドプレミアリーグの所属チームを始めとし、大会に賛同するフットボールクラブのバックアップも得た。競技の垣根を超えて展開されたキャンペーンは、多様な国民層にアプローチし、定着した文化に新風を吹き込んでいく。
それが結果的に、新たなファンを醸成する種にもなり得る。中西の言う「継続していく仕組み」は、パラスポーツがすでに文化として根付くロンドンでも、緻密に行われていた。
「次は東京、君たちの番だよ!」
会場を盛り上げる巧みなカメラワークなど、日本が今大会から学ぶべきところは多い 【写真:吉田直人】
山本の言葉である。
今回、会場で話を聞いた現地のスタッフや海外選手たちからは、東京パラリンピックに向けての言葉も聞かれた。
「次は東京だ。君たちの番だよ!」
「2020年になれば、絶対に盛り上がるはずよ、心配ないわ!」
計16個のメダルを獲得した日本チームのメンバーたちには、スタンドから送られる大歓声が刻まれた。約3年後、パラリンピックの会場を埋め尽くした観客の喝采を、東京でも聞くことができるだろうか。