悩めるネイマールの行く末は? 狂気の移籍金が飛び交うヨーロッパの夏
ネイマールにとってバルサは最適な環境だが……
ネイマールにとってバルセロナは、プレー面でも人間関係でも最適な環境だと言えるが…… 【写真:ロイター/アフロ】
にもかかわらず、ネイマールが移籍を検討しているのは、将来的に世界最高の選手になることを意識しているからだろう。既に彼はバロンドールの上位3人に選ばれたこともあるわけだが、バルセロナでプレーしている限り、常にメッシの陰に隠れることになる。チームメートにはクラブで手にした獲得タイトルで差をつけることもできない。つまり世界最高の個人賞を手にするためには、ユニホームを変えるほかないのである。
その点、PSGで新たなプロジェクトの主役として成功することができれば、目指すスターダムの頂点にたどり着ける可能性がある。年俸は倍増するし、友人のアウベスをはじめ、ブラジル代表の仲間が何人も所属していることもプラスになるだろう。
ネイマールを悩ませている理由は他にもある。バルセロナのフロントがこのような事態に至ることを予見せず、公私にわたって彼らスター選手のサポートを怠ってきたことだ。例えば、ネイマールが親しくしていたチーム内のブラジル人選手の数は年々減ってきている。些細なことに思えるかもしれないが、そういった配慮は決して軽視すべきことではないのである。
「強化プラン」という大義は二の次に
モナコのキリアン・ムバッペはレアル・マドリーに移籍することになるか 【写真:ロイター/アフロ】
今回はリーガ・エスパニョーラの動きのみ触れてきたが、同じ傾向は他国のトップリーグにも当てはまる。マンチェスター・シティやチェルシー、PSGといったメガクラブは、国内リーグの開幕が間近に迫っていることなど気に留めず、8月末までビッグネームの獲得競争を続けることだろう。
フットボールビジネスがフットボールそのものを凌駕(りょうが)し始めた現状、スター選手を獲得できるチャンスがあれば、どのクラブも時を選ばず飛びつくようになっている。その際、「強化プラン」などという大義は二の次とされてしまうのである。
(翻訳:工藤拓)