【UFC】ジョン・ジョーンズは本当に再生したか? コーミエ戦で「自分の人生を取り戻す」
ひき逃げ事件で執行猶予、長期欠場へ
「飲酒していたから、一刻も早く現場を立ち去りたかった。相手方が妊婦だと知って、お子さんが亡くなりでもしたらもうおしまいだ、牢屋(ろうや)に入れられると思った。俺にも娘が4人いる。自分でも自分のことをモンスターだと思った」
そう明かしたジョーンズには18カ月の執行猶予判決と72回の社会奉仕活動への参加命令が下される。この件を受けてUFCはジョーンズのタイトルを剥奪、ランキングからも除外し、無期限の出場停止処分を科した。
16年3月にはアルバカーキー市内で自動車を運転していたジョーンズが信号待ちでエンジンを吹かしていたところ、警察官から職務質問を受ける。ジョーンズは危険走行をしていたわけではないと主張したが、警官とのやりとりに冷静さを失い、警官に対して「インチキ野郎」などと暴言を吐いてしまう。執行猶予期間内の違反行為としてジョーンズは拘置所で3日間を過ごした。
16年4月、出場停止処分を解かれたジョーンズは「UFC 197」でオヴィンス・サン・プルー(米国)と対戦して判定勝ち、暫定ライトヘビー級王座を獲得。3カ月後の16年7月に予定されていた「UFC 200」で、正王者コーミエとの統一戦に臨むことが既定路線となった。
しかし、「UFC 200」開催3日前に、ジョーンズの薬物検査でエストロゲン・ブロッカーが検出され、失格していたことが判明し、試合はキャンセルされた。その後の調査で、ジョーンズが使用した勃起不全治療薬に、表示成分以外の禁止薬物が含まれていたことが明らかになっている。この件を受けてUFCでは再びジョーンズのタイトルを剥奪、1年間の出場停止に処した。
「彼は悪魔に魅入られている」
日本時間7月30日(日)に開催される「UFC 214」での対戦を前に、コーミエは「パーティー、ドラッグ、酒。自分自身であるために、あいつには必要なものだったんだろう。彼は悪魔に魅入られている。悪魔に乗っ取られていることを自分で認めない限り、克服などできない。あいつは自分がけん伝しているような人間になることができるかもしれない。ただそのためには、今回、俺に負ける必要がある」とコメント。
一方でジョーンズは次のように言葉を残している。
「コーミエは“自分は良い人でお前は悪いヤツ”という物語に固執している。自分にはもっと辱めが必要だと考えている。もう自分の生き方を邪魔されるのにはウンザリだ。この試合には勝つ。そして自分の人生を取り戻す」
試合後にジョーンズがどんな人生を取り戻すことになるのか。ドラマはまだまだ終わりそうにない。
(文:高橋テツヤ)