リハビリ中の岩隈が見定める自身の姿 “もう少し”が遠い復帰への道

丹羽政善

19日、3Aでのリハビリ登板では2回4失点で降板した岩隈 【写真は共同】

 大リーグでは試合前、メディアがクラブハウスに出入りできる時間がある。ホームチームであれば、午後3時15分頃から午後4時15分頃までで、過ごし方は選手それぞれのルーティン次第だが、マリナーズの岩隈久志は、先発当日やブルペンに入る予定がなければ自分のロッカーでゆっくりしていることが多い。目の前にビリヤード台があって、常に目の前を人が行ったり来たり、という状況だが、気にするそぶりもなく実にマイペースである。

 ただ、そんな岩隈も最近は、むしろクラブハウスにいないことの方が多く、戻ってきても、何かを取りに来たという感じで、すれ違いざま、「これから治療っす」と言いながら、トレーナー室へ向かうことも。5月に肩の張りで故障者リストに入ってからは、当然ながら、そんな時間が増えている。

1Aでの登板後はまずまずだったが…

 6月25日(現地時間)に行われたデーゲームのアストロズ戦前も、午前10時15分頃にクラブハウスに戻ってきたと思ったら、そのままスパイクに履き替えて外でキャッチボール。終わるとまたトレーナー室へ消えた。この日はそのあと、ゆっくり話す時間があったが、ケガをしたらまずは休む、というのは最初だけで、復帰が見えてくるとローテーションに入って投げている時よりも、やることが増えるようだ。

 もっとも、そういう状況まで来ているとはいえ、岩隈のメジャー復帰が近いかといえば、ここにきて不透明だ。

 14日、1Aのチームに合流してリハビリ登板を行うと、4回を1安打無失点と約6週間ぶりの実戦とはいえ、まずまずだった。この後、次のリハビリ登板で問題がなければ、メジャー復帰というシナリオをスコット・サービス監督も口にし始めたが、19日に3Aのタコマ・レイニアーズのユニホームを着てマウンドに上がると、5〜6回で70球が目安のところ、2回49球で降板した。内容は4安打4失点2四球。岩隈の場合、相手打者を知り、弱点をつきながら投球を組み立てるスタイルであり、よって、知らない打者を相手に投げた結果は参考にしにくい。この時も、予定のイニングを投げられなかったとはいえ、感覚さえ戻っていれば24日に復帰か、という見方もあったが、試合後、本人がそれを否定した。

「次は、(メジャーに)戻れないでしょうね」

 その後さらに、リハビリ登板の予定も立たなくなっている。

 なにがあったのか。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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