世界陸上へ、松田瑞生が執念の女子1万V 男子は大迫傑が圧巻のレースで連覇達成

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冷静なレース展開を見せた大迫

2連覇を達成した大迫傑(手前)。参加標準記録は切れなかったが、冷静なレース展開を見せて、勝利を手繰り寄せた 【写真:アフロ】

 2人の競り合いで勝負が決まった女子に対し、地力の違いを見せ付けたのが男子1万メートルを連覇した大迫傑(NIKE ORPJT)だった。

 男子は日本選手権までに参加標準記録(27分45秒00)を突破していたのが村山紘太(旭化成/27分44秒39)のみと、記録としては低調。さらにその村山紘も欠場と、ほぼ横一線、同一条件で日本選手権を迎えることになった。

 その状況の中で選手たちの頭にあったのは、表彰台に上るということ。2位に入った上野裕一郎(DeNA)も「3位以内に入らないと(世界選手権には)行けないという状況があったので、日本選手権に合わせてきました」と、まずは選考に残るためにこの大会で結果を残すことを重視していた。

 レースでは何人もの選手が先頭に躍り出たが、大迫は常に集団の前方につけ、いつでもスパートに反応できえる構えを見せる。残り1000メートルを切ったあたりで上野がロングスパートを仕掛けると、これを大迫は見逃さず「最後の800メートルから600メートルで仕掛けようと思ったのですが、上野さんが出てくれたので、それを利用して、わりと最後は余裕がありました」と余力を残しながら付いていく。最後はスピードの差を見せつけ、28分35秒47で大会連覇を飾った。

リオ五輪では悔しい結果に終わったが、ロンドンで行われる世界選手権では「10位以内を目指す」と意気込む 【写真:アフロ】

「勝つことが目標だったので、それが実行できて充実感があります。どんなレース展開であっても、最後まで戦うというのがあったので、想定通りといえば想定通りです」と涼しい顔で回答した大迫。気象条件などもあり、無理にタイムを狙わず勝利に徹した結果が、次へとつながった。

 このレースで代表内定とはいかなかったが、あとは参加標準記録を出すだけとなった。「(7月上旬に北海道で開催される)ホクレン・ディスタンスで(タイムを)狙いにいくと思うので、そこでしっかり出して次につなげたいと思います」とプランを語ると、世界選手権に向けては「昨年のリオ五輪がダメだったので、ロンドンでは10番以内というところを目指し、まだそこには実力が足りないと思いますので、頑張っていきたいです」と話した。

 男女ともにラスト勝負で勝敗が決まった1万メートル。しかし世界の舞台では、最後のスプリント勝負で短距離走者のようなスピードを持つ選手たちが多くスタートラインに並ぶことになる。大迫も松田も「世界で戦うためにはまだ力が足りない」と話している通り、まったく同じレース展開では歯が立たないだろう。

 残りの時間でどれだけスタミナとスピードを付けられるか。日の丸を背負う選手たちのさらなるレベルアップに期待したい。

(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)

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