攻撃的スタイルでJ1残留を目指す大宮 新監督の下、トップとユースの融合を狙う
天皇杯初戦は完勝、3回戦進出を決める
伊藤監督就任後は4試合無敗と、チームは持ち直してきている(写真はアルビレックス新潟戦のもの) 【(C)J.LEAGUE】
関東2部に所属する相手に前半はシュート2本と攻めあぐねたが、後半19分にドラガン・ムルジャ、ネイツ・ペチュニクの2枚を同時に投入すると、立て続けに3ゴールを奪って相手を突き放した。格下相手に個人能力の高い外国籍選手を投入して試合を決める采配自体は珍しくなかったが、相手の疲労が見え始めたタイミングでの同時投入のインパクトは大。ペチュニクのアシストから先制点が生まれ、ムルジャが追加点を奪うなど抜群の効果を発揮した。
5月28日にコーチから昇格した伊藤彰監督は、試合中のシステム変更や積極的な交代策を見せている。デビュー戦となったルヴァンカップのジュビロ磐田戦では、開始早々に退場者を出す展開の中、試合の流れを見ながら1トップとゼロトップを使い分けて2−1で勝利に導いた。磐田戦と第15節の新潟戦は、ともにシュート2本で2得点。苦しみながらも、シュート決定率100パーセントで勝利を収めた。偶然だろうが、勝負強さを感じさせている。就任後の4試合は無敗(3勝1分け)。まだJ1で降格圏ではあるが、チームは持ち直してきている。
監督交代後、チームは少しずつ前進中
「監督が変わってから、選手がアグレッシブにやってくれていることは良い」と伊藤監督は話す 【(C)J.LEAGUE】
25日にはJ1の残留争いの直接対決となる第16節のサンフレッチェ広島戦が控えている。大宮はJ1残留を果たせるかどうかが最大のポイントだ。16年シーズンはJ1で過去最高の5位、天皇杯では4強と目覚ましい成績を挙げたが、今季は苦戦。圧倒的な存在感を見せていたMF家長昭博(川崎フロンターレへ移籍)への依存度が、クラブが想定していたよりも大きかったことが誤算だった。
FW大前元紀らを獲得して戦力は補強したが、チームに慣れていく段階で結果が出ず、状況は暗転。攻撃的なチーム作りを志向する渋谷洋樹前監督が守備的な5バックシステムを採用する苦渋の決断を下すなど、手を尽くしたが浮上のきっかけをつかめず、監督交代を余儀なくされた。