ロッテのドラ1佐々木千隼が直面する壁 プロの重みを実感し飛躍へ準備中

千葉ロッテマリーンズ

「無名の右腕」から「ドラフト1位」へ

4月6日にプロ初勝利を手にした佐々木(左)だが、「いい内容ではなかった」と反省を口にする 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 佐々木は都立日野高出身。3年夏の西東京大会で早稲田実業や日大鶴ヶ丘高といった強豪校を倒して8強入りして「都立の星」と話題になったが、大学は当時は首都大学リーグの2部に所属していた桜美林大へ進んだ。

 大学4年の春までは全国的には無名。12球団のプロのスカウトが視察する右腕ではあったが、ドラフト候補としては創価大・田中正義(現福岡ソフトバンク)らの陰に隠れる存在だった。

 その名が一躍全国区になったのは、4年夏のことだ。侍ジャパン大学代表に選ばれ、日米大学選手権に出場。第1戦の先発を任されると、自己最速を更新する153キロをマーク。7回3安打1失点、12三振を奪って勝利投手となり、プロのスカウトの評価も、マスコミの注目度も上がった。そして、昨年10月のドラフト会議では外れ1位ながら5球団が競合した末、ロッテが交渉権を獲得した。

「今からちょうど1年くらい前は『社会人で野球が続けられたらいいな』というくらいの気持ちでした。注目も何もされてなかったのに、昨秋は何でこんなに注目してもらえるんだろうと不思議でした」

もがいているその先に

 ドラフト1位として入団すると、注目度も期待度も高い。勝てば「さすがドラフト1位」と言われるし、負ければ「ドラフト1位なのに」と言われる。プロ野球は、それが当然の世界だ。

「ドラフト1位として期待していただいている。そのなかで結果を残せていないので、がっかりされる方も多いと思います。プロというのはこういう仕事なんだなと、初めて実感しています」

 自分が思う球を投げるために。そして結果を出し、期待に応えるために。佐々木は現在、落合英二コーチや小林雅英コーチの指導のもとでいろいろな取り組みをしながら、腕が一番振りやすいところを探していこうとしている。

「今、落合さんや雅さんが指導してくださって、投げやすいフォームになってきています。それがゲームで形として出せるように、練習しています。先輩方も教えてくださるので、吸収できればプラスになると思います。結果が良くなかったら苦しいですけど、こうしていろんなことを教えていただいているのは、自分にとっていい引き出しが増えるチャンスなのかなと思っています」

 6月11日の東京ヤクルト戦では初回に打者一巡で7失点したが、続投。7回9安打8失点で6敗目を喫した。伊東勤監督は、次も巨人戦で登板させることを示唆している。

 佐々木は今、もがいている。しかし、それはこれから大きく飛躍するための準備なのだ。

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