ロッテのドラ1佐々木千隼が直面する壁 プロの重みを実感し飛躍へ準備中
「思うような球を投げられていない」とここまでを振り返る佐々木 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】
千葉ロッテのドラフト1位ルーキー・佐々木千隼は6月4日の広島戦(マツダ)で5回4失点で敗戦投手になった。その時点での投手成績は7試合に登板して2勝5敗、防御率5.12となった。
その3日後。ZOZOマリンスタジアムで練習を終えた後、佐々木はここまでの成績を浮かない顔で振り返った。
「自分が思うような球を投げられていなくて……。そうなると当然、結果もついてこない。打者と戦っているというより、自分と戦っている方が多いですね。もっと勝ちたいというよりは、まずはもっと打者に向かっていきたいですね」
制球難の理由は?
「コントロールを気にしすぎて、逆にコントロールが悪くなっています。投球動作のメカニックがおかしくなっていて……」
きっかけは、今春のキャンプだった。ブルペンに入り、初めてプロの先輩投手たちの投球を間近で見たとき、佐々木は衝撃を受けたという。
「まわりの先輩たちは回転がかかった伸びる球を、捕手が構えたところに投げ込んでいました。自分の球と比較して、こんなんじゃダメだな、と。いい回転でいい球を投げたいと思ったんです。そんなこと、それまで思ったことがなかったのに」
上からいい回転の球を投げようとしたことで、腕の振り方がそれまでと変わってしまった。単純に言ってしまえば、以前はもっと横だったのが、縦になった。佐々木は「映像を比較すると、自分でも大学時代と変わっているのがわかる」と言う。
「自分が腕を振りやすいところで振れていない。ぜんぜん腕が振れてこないんです」
初勝利も手応えなし
「デビュー戦の白星はうれしかったですね。でも、まったくいい内容ではありませんでした。四球を多く(6個)出したし、思っていたような球速も出ていなかった。自分で納得のいく球は投げられていませんでした」
フォームが変わってうまくいかないのであれば、元のフォームに戻せばいい――。そう考えがちだが、ことは簡単ではない。佐々木はリリースの瞬間に球の重さを感じられるかどうかをフォームのチェックポイントにしてきた。しかし、今は「その感覚もない」と言う。
「『ここをこうすればこうなる』という引き出しをたくさんもっていれば、修正の仕方がわかるんだと思うんですけど、僕はこれまでそんなに考えて野球をやってきていなかったので、引き出しも少ない。ヘタクソなので、練習するしかありません」