若手投手と行う“振り返り”の時間 吉井コーチの指導スタイル(2)
2016年は11勝9敗、防御率2.94の好成績を残した有原 【写真は共同】
「自分にとっても実験的」な指導法
そう説明する“振り返り”こそ、一方的に教えるのではなく選手自らが気づき学ぶことを重要視している吉井コーチならではの指導法といえるものだ。
「(この指導法は)自分にとっても実験的なものなんです。これがシーズンが終わって『良かったな』となるのか、それとも『あまり意味がなかったな』となるのか、わからないところです。
実は去年から似たようなことをやっていて、去年はその3人に加え、井口(和朋)や白村(明弘)を含め全員で、“振り返り”について議論をさせていたんです。それを今年は1対1でインタビューみたいにやっているんです。一応、去年の段階で自分で考えることの下地はつくってありました。それが徐々に生きてきていると思いますよ。
ちゃんと(“振り返り”の時間で)自分たちから『どうしたい』と言ってくれます。それが間違っているかどうかは別にして……(笑)。
試合直後は頭が熱くなっているので、次の日にやっています。技術的な振り返りも必要ですが、場面場面で自分がどう思ったか、という感情面も振り返ってもらいたいんですよ。ピッチャーはそこがすごく大事なんです。ホームランを打たれると気持ちが上がったり落ちたりすることが投手はすごく多いので、気持ちが揺れた時に自分のパフォーマンスができるのが良い投手じゃないですか。
たとえば有原の場合、ルーキーの時は審判の判定についても(感情を)顔に出していたらしいんです。なので昨年は、審判の判定に不服だったとしても、表情だけは出さないでいこうというのを目標にしてやっていました。それを守ってくれて、今ではそんなに気持ちを揺らさなくなってきていると思います」