【UFC】捲土重来を誓うA・グスタフソン 地元ストックホルムで再挑戦へ踏み出す

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負けを引きずる男、ネガティブ発言からの帰還

「UFC 192」ではダニエル・コーミエとタイトルをかけて戦ったがスプリット判定負け。その後、ネガティブ発言が目立った 【Zuffa LLC】

 その後、15年10月「UFC 192」にめぐってきた再びのライトヘビー級タイトルマッチでも、王者ダニエル・コーミエ(米国)に接戦の末スプリット判定負け。グスタフソンは「もはやモチベーションが沸いてこない」と言ってみたり、「そろそろ潮時なのかもしれない」とこぼしたり、やがてさまざまなメディアでネガティブ発言を漏らす機会が増えていく。

 それゆえ16年4月に本人がソーシャルメディアで「悲しいお知らせですが、自分はMMAを引退することにしました。15年の厳しい結果により、トレーニングのやる気を失ってしまいました。さらに今日、古傷に手術が必要で、1年以上の欠場が必要となることが分かったため、引退を決意するに至りました」とエイプリルフールの冗談を発信したところ、これを真に受けて騒ぎ出す人が続出したのだった。

「何の仕事でも、良いことと悪いことがあるだろう」とグスタフソンは語っている。「僕にも悪い日はあった。敗戦からの復活は難しい。僕は“バッドルーザー”なんだ。負けを引きずって、いろんなことを口走ってしまう。でもそのことと、実際に引退することはまた別なんだ。僕はこのスポーツが大好きだし、これしかできないしね」

テロには屈しない! ストックホルムに元気を!

 日本時間5月28日(日)に開催される「UFCファイトナイト・ストックホルム」では、グスタフソン(ランキング1位)が“ストックホルムの惨劇”以来の地元でのメインイベントに登場。ベテランのグローバー・テイシェイラ(ブラジル/ランキング2位)を迎え撃つ。敵地に乗り込む格好となるテイシェイラは「ホームタウンで戦えるのは確かにいいことだが、だからといって勝てるとは限らない。スマートでスピーディな試合でオレが勝つよ」と自信満々に語っている。

 今年4月7日、ストックホルムの繁華街にある百貨店に暴走トラックが突っ込むという、いたましい死傷事故が発生した。当局はこれをテロ行為であると断定しており、現場はグスタフソンが所属するオールスターズ・トレーニングセンターから3キロほどしか離れていない場所だ。現場には今も花やお供えがなされており、悲しみに暮れる市民の心の団結力はかつてなく高まっているという。UFCイベントのカウントダウン番組に出演したグスタフソンは、テロで被害を受けた人が少しでも元気になれるような試合をしたいと語り、決意を新たにしている。また5月12日付の本人のソーシャルメディアでは、娘さんが無事誕生したことが報告されている。

 またしてもさまざまな使命感や負けられない理由、ファンの期待を背負って地元のメインイベントに立つグスタフソン。ここは一番、何としても勝たなければならない舞台となった。ここできっちりと期待に応えることで、初めて本格的にタイトル再挑戦への道が拓(ひら)けてくることになるのだろう。

 折しも近年、UFCではヨーロピアンパワーが席巻(せっけん)。アイルランドのコナー・マクレガー、イギリスのマイケル・ビスピン、ポーランドのヨアンナ・イェンドジェイチェク、オランダのジャーメイン・デランダミーと、4人ものUFCチャンピオンが登場している。グスタフソンもこの勢いにうまく乗って、頂上を目指して浮上していきたいところだ。

(文 高橋テツヤ)

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