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怖さが凝縮されていた八重樫東の敗戦
再び「這い上がる姿」を見せることは?

「短いラウンドだったが、すべてが集約していた」

わずか165秒での決着……。八重樫(左)の敗戦にはボクシングの怖さが凝縮されていた
わずか165秒での決着……。八重樫(左)の敗戦にはボクシングの怖さが凝縮されていた【写真は共同】

 井岡一翔(井岡)、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)ら強豪と激闘を繰り広げ、“激闘王”の異名を取った八重樫がマットに沈んだ光景に会場が静まり返った。わずか165秒での決着……そこにボクシングの怖さが凝縮されていた。


 王者・八重樫東(大橋)と暫定王者ミラン・メリンド(フィリピン)によるIBFプロボクシング世界ライトフライ級王座決定戦が21日、東京・有明コロシアムで行われ、八重樫が1R2分45秒、TKO負けで敗れ、3度目の防衛に失敗した。


 戦前のプランはリング上で対峙し、スピードで上回ればアウトボクシングで勝負、スピードで勝てない場合は中盤以降にインファイトに持ち込み潰していくというもの。大橋ジムの大橋秀行会長は「メリンドは実績、キャリアともに十分で、激闘にならないと勝てない相手。中盤から終盤のハートに期待している」と接戦を予想していた。


 それが……12Rどころか予想だにしない1RでのKO負け。「(メリンドの)風を感じる前に終わってしまった」と笑みすら浮かべていた八重樫。「パンチを当てられて、(自分は)当てられなかった。それが技術の差だと思うし、短いラウンドでしたけど、そこにすべてが集約していると思う」と敗因を語った。今後については「自分自身、奮い立たせるものが残っているのであればきっと立ち上がるだろうし。もういいかなと思ったらスパッとやめるかもしれないし。そこは雰囲気で決めていきます」と明言は避けた。

立ち上がりは良い展開になりかけていたが……

1度目のダウンは左フック、2度目のダウンは左アッパーと被弾を受け、最後は力なくメリンドのワンツーでリングに倒れた
1度目のダウンは左フック、2度目のダウンは左アッパーと被弾を受け、最後は力なくメリンドのワンツーでリングに倒れた【赤坂直人/スポーツナビ】

 22日、同じ大橋ジム所属のWBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥の喜びの一夜明け会見の横で、八重樫と長年タッグを組んできた松本好二トレーナーに試合を振り返ってもらった。


 試合開始のゴングが鳴ると、八重樫はキレのいい左のダブル、左のトリプルで相手をけん制。一方、メリンドの左ジャブをしっかりとさばいていた。松本トレーナーは「最初の3Rまではワンサイドも覚悟していたし、ジャブの差し合いで負けるかなと思っていたけど、八重樫のジャブが当たっていて、メリンドも八重樫の距離感に面食らっている部分が見えた」と、立ち上がりの良さを感じていた。


 ところが好事魔多し……。1分過ぎ、ロープ際で左ボディを食らうと、やや動きがにぶる。「ボディが強いなと思ったので、ちょっと集中しようと思った」(八重樫)と意識がやや下に向かった間隙を突いて、メリンドの左フックが八重樫のこめかみを直撃した。混戦の中の一撃に、観客席からはフラッシュダウンかなとも思わせた。八重樫もすぐに自陣に向かって「大丈夫」と合図を送っている。しかし、予想外に効いていたのか、「手応えはなかったけど、ヤエガシの足がふらついているのが分かった」というメリンドの左アッパー2連発に2度目のダウン。これで完全に効いたところでワンツーをもらい、マットに沈んだ。


 松本トレーナーは「最初のダウンは(パンチの)受け方が悪くてバランスを崩してしまったのかなとも思ったんですけど、でもダウンはダウン。パンチをもらったのは見えていたので、どれぐらい効いているのかな、と判断しているうちに立て続けにパンチを食らって試合が終わってしまった」と語る。

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