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南アフリカ戦で日本が感じた桁違いの速さ
10年ぶりに出た世界大会で感じる幸せ

イタリアvs.ウルグアイのレベルの高さに驚嘆

1−0で勝利を収めたウルグアイ。イタリアとの一戦は驚嘆するほどのレベルの高さだった
1−0で勝利を収めたウルグアイ。イタリアとの一戦は驚嘆するほどのレベルの高さだった【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 10年ぶりに出た世界大会での勝利だったのだ。正直に言ってかなりうれしかったし、その余韻に浸りながら取材を終えて記者席に着いた。ちょうど第2試合がキックオフとなるタイミングだった。対戦カードはイタリアとウルグアイというサッカーの伝統国対決。そしてその試合内容は、勝った喜びが一気に吹き飛ぶほどの激しさと質を持っていた。


 序盤からハイテンションで試合に入った両雄が繰り広げる激しい“デュエル(球際の競り合い)”とチームとしての駆け引き、そして激しさの中でも失われない技術的精度の高さと当たり前のように継続されるハードワークに、まさしく目を奪われた。あっという間の45分が過ぎてしまうと、このドキドキを誰かと分かち合いたくて、観客席に向かってしまった。


 U−18代表の影山雅永監督はそのとき会話を交わした1人だが、2年後のU−20W杯を目指す代表チームを率いる指揮官も興奮気味だった。「欧州チャンピオンズリーグでバイエルンとアトレティコ・マドリーを観たとき以来の衝撃ですよ!」と言う影山監督は、「映像では分からない。やっぱり普段の(親善試合などで対戦する)試合とは違う。これほどの密度とは思っていなかった」とU−20年代のトップレベルの攻防に感心しきりだった。


 後半も興味深い攻防が続く中で、ウルグアイが1−0で勝利を収めたのだが、もはや第1試合のことなど頭から消えていて、自然と「この相手に日本はどう対すればいいのか?」ということばかりを考えて止まらなかった。同時に「こんな相手と対戦できる幸せ」もかみしめる。欧州のビッグクラブに所属する、あるいは獲得を狙う選手がズラリとそろうウルグアイは、日本の現状と現実を計る上で最高のものさしだろう。どの選手がどう通用するのかを真剣勝負の中で観ることができるのだから、これ以上のことはない。


 差があるのは間違いないのだが、差を体感すること自体が収穫になり得るし、差を埋めるための工夫の実践もまた、彼らの糧になるだろう。それにサッカーは、差があっても何とかできる余地が常に残るスポーツでもある。次のウルグアイ戦は至って純粋に楽しみな試合だ。

若い選手が世界大会に出る意義

世界中の強者たちと手を合わせる幸せなこの時間が、彼らの未来において大きな糧となるだろう
世界中の強者たちと手を合わせる幸せなこの時間が、彼らの未来において大きな糧となるだろう【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 南アフリカとの初戦を終えて、冨安は「Jリーグとは比にならないくらいの疲れがある」と振り返っていたが、圧倒的な緊張感の中で異次元の相手と戦う世界大会の密度は、やはり日常の試合とは大きな差があるもの。逆に言えば、それを体感できる選手たちの何と幸せなことか。冨安も「こういう相手とやって後半は特に楽しみながらやれました」と笑顔で振り返っていたが、まさにこの充実感こそ若い選手が世界大会に出る意義というものだろう。


 冒頭、南アフリカの速さに度肝を抜かれた舩木に対しても最後に聞いてみた。「世界大会、楽しい?」と。答えはもちろん明瞭な肯定で、世界中の強者たちと手を合わせる幸せなこの時間が、彼らの未来において大きな糧となることを確信させるものだった。

川端暁彦
川端暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカー批評』『サッカーマガジンZONE』『月刊ローソンチケット』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。2014年3月に『Jの新人』(東邦出版)を刊行

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