都市対抗予選が本格化!注目の選手は!? 広島・田中弟、本格派左腕・田嶋らを紹介

西尾典文

広島・田中の弟・俊太は日立製作所でプレー。俊足巧打と鉄壁な守備は兄譲り 【写真は共同】

 社会人野球最大のイベントである都市対抗野球。今年は7月14日に開幕するが、その出場権をかけた最終予選は5月中旬から6月にかけて全国各地で行われている。ドラフト的な観点からすると今年は大学生の有望選手が少なく、社会人に上位指名候補となる選手が多いのが現状だ。そこで都市対抗の舞台でも活躍が期待されるドラフト候補の社会人選手について紹介する。

社会人ナンバーワン左腕・田嶋の評価

佐野日大高時代から評判の左腕・田嶋はJR東日本でストレートの球威アップ。社会人ナンバーワン左腕と評価が高い 【写真は共同】

 地区別で見ると今年は関東に有望選手が多いが、そんな中でも最大の注目は社会人ナンバーワンサウスポーの呼び声高い田嶋大樹(JR東日本)だ。佐野日大高ではエースとして3年春のセンバツでベスト4に進出しており、当時から評判の投手である。高校時代は本格派というよりもスライダーが目立つ投手だったが、社会人でフォームの躍動感が格段にアップし、ストレートはコンスタントに140キロ台後半をマークするまでに成長した。毎年のようにプロを輩出する層の厚い投手陣の中でも早くからエースとして活躍しており、実績も申し分ない。今年は少し安定感を欠くピッチングが目立つが、大舞台に向けて調子を上げてくるかに注目だ。

【動画】田嶋の投球フォーム

150キロの速球に威力ある西村

 西村天裕(NTT東日本)も帝京大時代から評価が高い本格派右腕だ。大学4年秋のドラフト直前に試合中のアクシデントで左ヒザに全治6カ月の重傷を負い、その影響もあって指名は見送られた経緯を持つ。社会人1年目の昨年は夏場に実戦復帰すると、日本選手権ではリリーフで好投を見せて回復ぶりをアピールした。たくましい体つきから投げ込む150キロ前後のストレートが最大の武器。ただ速いだけでなく数字に見合った威力がある。先発、リリーフどちらでも力を発揮することができるのも魅力だ。

 先発タイプでは石田光宏(東京ガス)の評価が高い。スリークォーター気味の腕の振りで、ストレートも変化球もしっかり低めに集められるのが長所。驚くようなボールはないものの走者を背負ってから粘り強く投げられ、試合を作る能力が非常に高い。関西大時代にはリーグ戦通算30勝をマークしており、故障なく投げ続けていることも頼もしい限りだ。

無名の高校生右腕が社会人で成長

 今年に入って評価を上げているのが鈴木康平(日立製作所)と永野将司(ホンダ)の二人だ。鈴木は高校時代からなかなか体重が増えずに調子の波が課題だったが、昨年秋の日本選手権で好投したことで一気に自信をつけたように見える。長身で柔らかく腕を振れるフォームはいかにもプロが好みそうなタイプだ。永野は故障で大学卒業後1年遅れて社会人に進んだ異色のサウスポー。安定感には欠けるものの、コンスタントに150キロ台をマークするスピードは大きな魅力。リリーフ左腕はどの球団も不足しているだけに、プロからの注目度も高い。

 関東地区以外の投手では鈴木博志(ヤマハ)が最大の注目選手。磐田東高時代は全国的には無名だったもののヤマハ入社後に頭角を現し、昨年の都市対抗ではリリーフで154キロをマークして一躍その名を全国に轟かせた。フォームに悪い癖がないのも大きな長所で、リリーフが手薄な球団は喉から手が出るほど欲しい投手だろう。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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