【ボクシング】パッキャオ、サーマン…ウェルター級ウォーズ勃発
7月2日に初防衛戦に臨むWBO王者マニー・パッキャオ 【(C)NAOKI FUKUDA】
そして7月2日、WBO王者のマニー・パッキャオ(38=フィリピン)がオーストラリアのブリスベンでジェフ・ホーン(29=オーストラリア)を相手に初防衛戦に臨むことが決まったのだ。勃発したウェルター級スターウォーズ、はたして誰が最後に笑うのだろうか。
主要4団体ウェルター級王者
WBAスーパー王者:キース・サーマン(米国)
WBA王者:レイモント・ピーターソン(米国)
WBC王者:キース・サーマン(米国)
IBF王者:ケル・ブルック(イギリス)
WBO王者:マニー・パッキャオ(フィリピン)
2団体王者のサーマンが29戦28勝(22KO)1無効試合、2階級制覇のピーターソン(33歳)が39戦35勝(17KO)3敗1分、3度防衛中のブルックは37戦36勝(25KO)1敗、6階級制覇の実績を持つパッキャオは67戦59勝(38KO)6敗2分と、いずれも高い勝率、高いKO率を誇る。
このうちIBF王者のブルックが27日にイギリスで指名挑戦者のスペンスと拳を交えることになっている。開催地はブルックの地元シェフィールドだが、試合前のオッズは3対2で挑戦者有利と出ている。8カ月前にミドル級王座に挑んで5回TKO負け、眼窩底骨折のためブランクをつくったブルックに対し、12年ロンドン五輪でウェルター級ベスト8に入ったスペンスはサウスポーの万能型強打者で、このところ8連続KO勝ちと勢いがある。ブルックにとっては厳しい戦いが予想されているが、地元ファンの前で意地をみせることができるか。
3団体統一戦のカギを握るサーマン
WBC王者のダニー・ガルシアを倒し2団体の王座を統一したWBC王者キース・サーマン 【(C)NAOKI FUKUDA】
この2試合に強い関心を示しているのが2団体王者のサーマンだ。
特にサーマンはブルックとの統一戦を希望しており、IBF王座の行方には興味津々といったところであろう。27日にブルックに挑むスペンスもサーマンとの対決を望んでおり、年内には3団体の統一戦が行われる可能性がある。
この階級はランカー陣も充実している。WBC1位にランクされるショーン・ポーター(29=米国)は13年から14年にかけてIBF王座に君臨した実績を持つが、ブルックに敗れて下野した。昨年6月には友人でもあるサーマンに挑んで小差の判定負けを喫したが、再戦を熱望している。30戦27勝(17KO)2敗1分のファイターで、誰と戦っても激闘になることは間違いない。
変則的な角度とタイミングで放たれる左フックの強打に定評がある前WBC王者のガルシア(34戦33勝19KO1敗)も巻き返しを狙っている。さらにウェルター級を含む4階級を制覇した実績を持つエイドリアン・ブローナー(27=米国 36戦33勝24KO2敗1無効試合)、5月に戦線復帰を果たしWBA4位、WBC8位にランクされた元WBCスーパー・ライト級暫定王者のルーカス・マティセ(34=アルゼンチン 43戦38勝35KO4敗1無効試合)も力がある。
このほか、パッキャオと3度戦った(1勝2敗)元WBO王者、ティモシー・ブラッドリー(33=米国 37戦33勝13KO2敗1分1無効試合)、そのブラッドリーをKO寸前まで追い込んだ前WBO王者、ジェシー・バルガス(28=米国 29戦27勝10KO2敗)も捲土重来を期している。ただ、ブラッドリーは16年4月、バルガスは同年11月にパッキャオに判定負けを喫して以来リングから遠ざかっている点が気がかりではある。
パッキャオを中心に実力者が揃ったウェルター級トップ戦線。どんなカードが組まれ、誰が勝ち残るのか、目が離せなくなってきた。
Written by ボクシングライター原功
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