【W-1】芦野がV2 イケメンが4カ月ぶり復帰 デビュー7カ月の新星・伊藤貴則がタッグ王者に

高木裕美

無念のTKO負けを喫していた征矢と再戦

征矢を下しW-1チャンピオンシップV2に成功した芦野 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 4日の「WRESTLE−1 TOUR 2017 TRIUMPH」東京・後楽園ホール大会では、3大タイトルマッチなどが開催され、903人を動員した。メインイベントのWRESTLE−1チャンピオンシップ選手権試合では、王者・芦野祥太郎が征矢学を退け2度目の防衛に成功。6.6後楽園でのV3戦では同世代の土肥孝司を迎え撃つことになった。

 芦野はこれまで河野真幸、近藤修司といった先輩世代を撃破。征矢とは昨年7.1後楽園で行われた「WRESTLE−1 GRAND PRIX」準決勝戦で対戦予定であったが、芦野の負傷により、開始直後に無念のTKO負けを喫していた。

徹底した足攻めでギブアップ勝ち

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 前回の4.19後楽園で、かつての師匠・近藤に「オレたちはとんでもないモンスターを作ってしまった」とまで言わせ、急成長を遂げている芦野だが、この日も征矢のワイルドさに動じることなく自己流を貫き、徹底した足攻めへ。征矢もワイルドボンバー、滞空式雪崩式ブレーンバスター、デスバレーボムと怒とうのパワーファイトを繰り出すが、ジャーマンスープレックスなどでスタミナを削ってきた芦野が、執ようなアンクルロックでギブアップをもぎ取った。

NEWERA土肥を次期挑戦者と認定

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 試合後、リング上で「河野、近藤、征矢、全員倒した。もうWRESTLE−1でこのベルトに挑戦できる人はいない。弱いから」と豪語した芦野に対し、若手ユニットNEWERAが噛み付くが、芦野は一人ひとりバッサバサと斬り捨てると、唯一、残った土肥を次期挑戦者と認定。土肥も「クソガキがイキッてんじゃねえぞ。おまえが望んでる殺伐とした殺し合い、ベルトをかけてやってやるよ」と呼応した。
「仲良しこよしのNEWERAを解体してバラバラにする」と意気込む芦野に対し、土肥は「アイツはオレが理想とするチャンピオンじゃない。どんな会場でも、最後、勝って締めるのがチャンピオン。オレはアイツをしつけ直す」とダメ出し。一方、敗れた征矢は「後輩に負けた。これが現実。真正面から受け止めて精進します」と、これからの巻き返しを誓った。

タッグ王座戴冠・伊藤は先輩たちを挑発

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルのWRESTLE−1タッグチャンピオンシップ王座戦では、河野真幸&伊藤貴則組が、土肥孝司&熊ゴロー組を破り王座初戴冠。Pro−Wrestling ACE期待の新星が、デビュー7カ月にして団体の頂点に昇り詰めた。
 伊藤は熊ゴローのパワーに互角に渡り合うと、河野がサーフボードストレッチでとらえたところへ蹴りを放つなど連係も披露。10分過ぎには王者組につかまり、熊ゴローのダイビングセントーン、ダブルインパクト式のフェースバスター、サンドイッチラリアットを立て続けに食らうも、河野のアシストで最大のピンチを切り抜ける。河野から勝負を託された伊藤は、熊ゴローをダイビングボディープレスで押し潰すと、ランニングキックからのジャーマンスープレックスで3カウントを奪い取ってみせた。

 デビュー1年未満のキャリアで団体最高峰のベルトを巻いてみせた伊藤は「これを僕が持っていることを皆がどう思ってるのか聞きたい」と並み居る先輩たちを挑発。一方、若手の台頭目覚しい中、第一線に留まり続ける河野は「37歳のオッサンが時代に逆行してやる。まだまだこれから。一番高いところへ行く」と、トップ戦線で生き残るという気概を見せ付けた。

MAZADAがクルーザー王座返り咲き

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 WRESTLE−1クルーザーディビジョンチャンピオンシップ選手権試合では、MAZADAが王者のアンディ・ウーを破り王座返り咲き。6.6後楽園では「社長命令」で新社長カズ・ハヤシを迎え撃つことが決定した。
 MAZADAはベテランならではの安定した試合運びとテクニックでアンディーを寄せつけず。アンディーも得意の空中殺法を繰り出すと、MAZADAにナックルを連発し、制止に入ったレフェリーを突き飛ばすなどヒートアップ。さらにはジョン・ウー、雪崩式スパニッシュフライなどの大技を繰り出すが、とことん冷静なMAZADAがショートレンジラリアットで流れを引き寄せ、2発目の正田落としでフィニッシュを決めた。

 試合後、カズがテーマ曲と共に登場すると、MAZADAは「次の6月6日、社長命令でタイトルマッチ決定! よろしくお願いします!」と、社長のカズを差し置いて一方的に発表。敗戦に肩を落とすアンディーにも「悔しかったらもう1回やればいいじゃん」と、リマッチを促す余裕を見せ付けた。

イケメン復帰戦完敗も近藤に再戦直訴

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 左ヒザ後十字靭帯損傷により1月8日から欠場していた黒潮“イケメン”二郎が約4カ月ぶりに復帰。副社長・近藤修司に敗れるも、その場でリマッチを要求し、次回6.6後楽園でジャケットを賭けたリベンジ戦が決定した。
 前回4.19後楽園で復帰を発表した際、「この空席を次の後楽園でオレが埋めてみせます」と言い切った黒潮。満員にはならなかったものの、前回より大幅に空席が減った会場に『HELLO』に乗って登場すると、場内からは大「イケメン」コールが起きた。

 試合中に「オレは変わったぞ!」と叫んでみせた黒潮だが、近藤のフットスタンプでえづいてしまったり、ジャケットをまくりあげられて茶巾状態にされたりと、カッコ悪いところは相変わらず。それでも、近藤のランサルセ、キングコングラリアットをカウント2でしのぎ、飛びつき式十字固めでカウント2まで追い込むと、ファルコンアロー、ムーンサルトプレスで見せ場を作るが、かわされて無念の自爆。近藤が低空ドロップキックからのゴリラクラッチでギブアップを奪い、白星復帰とはならなかった。

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 だが、敗れた黒潮はその場で再戦を要求。近藤に「負けたらジャケットを着るな」と、黒潮の代名詞ともいえるジャケットを脱ぐよう要求されると、黒潮も「じゃあ、オレが勝ったら、アンタの一番嫌いなファンサービスをしてください」と逆に条件を提示。次の6.6後楽園で、黒潮が負けたらジャケットを脱ぎ、近藤が負けたら逆にジャケットを着て『HELLO』で入場するという、究極の「負けられない戦い」が決定した。
 今回の敗戦の原因を「ブランク」と断言した黒潮は、「ベルトよりも素敵な目標ができた。近藤さんにお似合いのカツラを持ってくる」とニヤリ。一方、「負ける気はしない」と、リスクの高すぎる戦いを決意した近藤も「負ける気はしないけど、死ぬ気でやってやる」と、黒潮の目障りなジャケットを剥ぐことに絶対の自信をのぞかせた。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント