プレミア“ビッグ6”の負けられない戦い 佳境に入るリーグ終盤の見どころは?

山中忍
PR

提供:スポナビライブ

マンUはELとの両立に挑む

イブラヒモビッチ(左)の離脱は「大打撃」。マンUはトップ4争いとELの両立に挑む 【写真:ロイター/アフロ】

 ただし、トップ4争いで最も注目の存在はマンUだ。状況的には最も不利なトップ4候補でもある。残る6試合には熾(し)烈なダービーの他、アウェーでアーセナルとトッテナムとの連戦が含まれる。おまけに4月20日のヨーロッパリーグ(EL)準々決勝アンデルレヒトとの第2戦で、ひざの靭帯を痛めたCBのマルコス・ロホとセンターFWのズラタン・イブラヒモビッチの今季が終わってしまった。特に、35歳でのプレミア1年目にして17ゴール5アシストを記録し大黒柱だったイブラヒモビッチの離脱は、監督のジョゼ・モウリーニョも認める「大打撃」だ。

 しかし、そこはしぶといモウリーニョのチームでもある。EL準々決勝第2戦を前にイブラヒモビッチをベンチに温存したチェルシー戦(2−0)は今季チームのベストゲーム。代役のマーカス・ラッシュフォードが先制点を挙げ、第34節バーンリー戦(2−0)では、同じく先発の機会が増えるアントニー・マルシャルとウェイン・ルーニーもそろって得点者となった。守備陣の故障は今に始まったことではなく、その間にも第10節からリーグ戦で無敗を維持しているのがモウリーニョのマンUでもある。指揮官は優勝すれば来季のCL出場権を得られることから「EL優先」をほのめかしてもいるが、準決勝の相手はリーガ・エスパニョーラ中位のセルタ。国内トップ4争いとの短期両立は可能と見る。

ルカクは終盤戦で最もホットなストライカー

ルカクは終盤戦で最もホットなストライカー。得点王争いをリードする 【写真:ロイター/アフロ】

 いずれにしても、いわゆる“ビッグ6”がトップ6を占める最終順位が濃厚だが、後続勢に欧州カップ戦への望みがないわけではない。マンUがリーグカップ王者となり、FAカップでもチェルシーとアーセナルのどちらかが王者となるため、両カップ戦優勝に伴うEL出場権がリーグ戦6位と7位に回される。7位の座は、残り4試合全敗でも勝ち点58のエバートンの物だろう。ウェスト・ブロムウィッチ(33試合を消化して勝ち点44)は残り試合全勝なら59ポイントに達するが、遅まきながら少なくとも中位級の力は出し始めたレスター、そして格上のチェルシーとマンCとも当たる5試合を無傷で乗り切れるとは思えない。

 そこで、EL出場権獲得が固いエバートンでは、個人賞獲得の有無が注目。後半戦14得点のロメル・ルカクは今季のプレミア終盤で最もホットなストライカーだ(現在24得点)。ケイン(20得点)、コスタ(19得点)、サンチェス(18得点)、アグエロ(17得点)との得点王争いを首位のまま終えれば、移籍金7000万ポンド(約100億円)で今夏の獲得を狙っているとうわさのチェルシーとマンUは、“ルカク熱”を高めるに違いない。もちろん、4月末の次節チェルシー戦と最終節アーセナル戦でもゴールを決めれば、ただでさえ熱い優勝争いとトップ4争いのさらなるヒートアップも請け合いだ。

スポナビライブ番組情報(PR)

◆プレミアリーグ配信予定◆
4/30 (日) 21:55〜 エバートンvs.チェルシー
4/30 (日) 24:20〜 トッテナムvs.アーセナル

2/2ページ

著者プロフィール

1966年生まれ。青山学院大学卒。西ロンドン在住。94年に日本を離れ、フットボールが日常にある英国での永住を決意。駐在員から、通訳・翻訳家を経て、フリーランス・ライターに。「サッカーの母国」におけるピッチ内外での関心事を、ある時は自分の言葉でつづり、ある時は訳文として伝える。著書に『証―川口能活』(文藝春秋)、『勝ち続ける男モウリーニョ』(カンゼン)、訳書に『フットボールのない週末なんて』、『ルイス・スアレス自伝 理由』(ソル・メディア)。「心のクラブ」はチェルシー。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント