選抜決勝は史上初の大阪勢対決に 敗戦で勇退の名将は最後に「感動」

楊順行

桐蔭・西谷監督「いつかこういう日が」

大阪桐蔭・徳山は秀岳館の強力打線を相手に1失点完投勝利 【写真は共同】

 大阪桐蔭・西谷浩一監督は、開会式の予行演習で、秀岳館(熊本)の鍛治舎巧監督からこう、声をかけられたという。

「(お互いに勝ち進んで)準決勝やろうな、と。鍛治舎監督は枚方ボーイズから熊本に移られましたが、いつかこういう日がくるのでは、と思っていました」

 それが本当に、厳しいトーナメントを勝ち抜いて実現するのだから、この両者の力は突出していたのだろう。

 どちらも、強力打線が持ち味。秀岳館は3試合で23、桐蔭は26点をたたき出している。

予想に反するじりじりとした投手戦

 だが、試合はじりじりとした投手戦になった。秀岳館の左腕・田浦文丸が変化球を効果的に使えば、前日の完投から連投の桐蔭・徳山壮磨は回転の良いストレートを中心に投げ込み、5回までスコアレスだ。

 桐蔭は6、8回のチャンスに、この大会好調の山田健太がいずれもタイムリー。試合を先行する。

「相手投手の球が強く、真っすぐに振り負けないように振った結果です」(山田)

 投げては徳山が、「相手は強力打線。強い気持ちで行かないと抑えられないので、思い切って腕を振り、自信のあるストレートで押しました」と7安打1失点で完投勝利だ。

 敗れた秀岳館は、これで昨春夏に続く3季連続の4強止まり。鍛治舎監督は言う。

「2失点は想定内で、打たなければウチに勝ちはない。7回の1死一、三塁が勝負でした。あそこで点を取ればまた違っていたんでしょうが……」

 これで桐蔭は、藤浪晋太郎(現阪神)らを擁し、春夏連覇した12年以来の決勝進出となる。
 センバツ決勝での同都府県対決は、1972年の日大桜丘と日大三の東京勢対決(優勝は日大桜丘)以来45年ぶり、史上5度目。しかも初めての大阪勢同士で、プロ野球も開幕するとなれば、野球ファンにはたまらない一日になりそうだ。

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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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