歴史的な逆転劇の陰に潜むバルサの問題点 デポルティーボ戦の敗戦を教訓に

準々決勝ではユベントスと対戦

シーズンの山場を迎えた今もプレー内容の改善が見られないバルセロナだが、果たして…… 【写真:ロイター/アフロ】

 そこで本コラムの本題に戻りたい。CLの逆転劇がうれしいのは分かるが、バルセロナはPSG戦後に敵将ウナイ・エメリが発した以下の言葉を胸に刻んでおく必要がある。

「われわれはレフェリーのせいで敗れたが、同時にバルセロナに敗れ、自分たちに敗れた」

 はたしてバルセロナは、恐らくPSGほど消極的に戦うことはないだろうレアル・マドリーやバイエルン・ミュンヘン、ユベントス、アトレティコ・マドリーといった相手からも、0−4からの逆転を成し得ただろうか。答えは明らかなように思える。17日、準々決勝でバルセロナはユベントスと対戦することが決まった。

 敗戦という結果とは別に、デポルティーボ戦はシーズンの山場を迎えた今もプレー内容の改善が見られず、スター選手たちも最高のパフォーマンスを取り戻せていないバルセロナの限界をよく示した一戦だった。

 どうかPSG戦の狂騒が、プレー内容や個々のパフォーマンスに潜む問題点を覆い隠すことがないように――。そうでなければ、恐らくバルセロナは高い代償を払うことになるだろう。

 今ならまだ、時間はあるのだ。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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